日本を除くアジア太平洋地域の融資額は3年連続で減少した後、2025年には企業の合併・買収(M&A)活動と好ましい金利環境を追い風に持ち直しに向かいそうだ。

ブルームバーグがまとめたデータによると、24年10-12月(第4四半期)の同地域の融資は1640億ドル(約25兆9400億円)に達した。10-12月期としては過去3年間で最も好調となった。

この流れから、25年は順調な滑り出しとなることが予想され、21年に記録した計6725億ドルのピークから24年まで3年連続で減少した低迷から抜け出す可能性がある。

バークレイズ銀行のアジア太平洋ローンシンジケート責任者アンドルー・アッシュマン氏は、「金利見通しの安定化と主要経済圏における選挙サイクルの終了は、企業の自信を後押しする。これにより、M&Aや資本支出活動が促進されるだろう。融資額の大幅な回復を期待している」と述べた。

ブルームバーグの集計データは、日本を除くアジア太平洋地域における24年のローン取引額が前年比4.6%減の5900億ドルになったと示している。

一方、日本を除くアジア太平洋地域でM&Aファイナンスが24年10-12月期に回復し、前年同期比でほぼ倍の140億ドルに達したこともブルームバーグのデータで分かった。年間では350億ドルと、前年と同水準となった。

三井住友銀行のオーストラリア部門でローン・キャピタル市場担当責任者を務めるスコット・オースティン氏は「インフレや人件費、市場の底堅さなどに対する見通し改善を背景に、経済や金利の見通しがより明確になるにつれ、スポンサーや買い手側は恐らく、買収候補案件の評価について確信と自信を深め見通しを立てることができる」と指摘した。

外国企業が円建てで融資を受ける「サムライローン」の勢いは、借り手側が資金調達コストの削減と借り入れ通貨の分散化を目指しており、今後も続く見込みだ。日本を除くアジアの企業は24年に過去最高の1兆2000億円規模のサムライローン契約を結んだ。

三井住友銀のマネジングディレクター、ベラリー・リー氏は「円金利が上昇傾向にある一方で、ドル金利がすぐに落ち着くことはないとの見通しだ」と述べ、円での借り入れを通じた「一定のコスト削減余地」はまだあり、コストに敏感な借り手には引き続き理にかなうのではないかとの見方を示した。

昨年12月の米連邦準備制度による0.25ポイント利下げ後、米短期金融市場でレポ取引の基準となる担保付翌日物調達金利(SOFR)は4.49%付近で推移。これに対し、日本の金利は依然としてゼロに近い水準にある。

原題:Asia Pacific Loans Set to Recover in 2025 From Three-Year Drop(抜粋)

--取材協力:Lorretta Chen.

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