(ブルームバーグ):バイデン米大統領は3日、日本製鉄によるUSスチール買収計画を阻止すると声明で発表した。
この決定を日本製鉄とUSスチールは非難。両社は共同声明で「明らかに政治的な判断」だと失望感を表明し、「法的権利を守るためのあらゆる措置」を講じると明らかにした。日本経済新聞が電子版で報じたところによると、日本製鉄は米政府を相手取り訴訟を提起する方針。阻止を決めた手続きの適正さなどを争う構えだという。
武藤容治経済産業相は3日夜、バイデン氏の決定について「国家安全保障上の懸念を理由として、このような判断がなされたことは理解しがたく残念だ」とするコメントを発表。「とりわけ日本の産業界からは今後の日米間の投資について強い懸念の声が上がっており、日本政府としても重く受け止めざるを得ない」と述べた。
一方、全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長は「組合員および米国の国家安全保障にとって正しい動き」だと決定を支持。「USスチールの最近の業績を見れば、強くて回復力のある企業であり続けるのは容易なことが明らかだ」と主張した。
日本製鉄のUSスチール買収計画を巡っては、国家安全保障上の問題を審査していた対米外国投資委員会(CFIUS)では意見がまとまらず、最終判断をバイデン氏に先月委ねていた。判断の期限は来週初めだったが、期限を待たずにバイデン氏は正式な決定を下した。
バイデン氏は声明で、「USスチールは米国の鉄鋼労組によって米国内で保有・操業される誇り高い米国企業で、世界最高の企業であり続ける」と述べた。
発表を受けて、3日の米株式市場でUSスチール株は一時8.4%安の29.87ドルに下落した。
この買収は、トランプ次期米大統領も阻止する意向を示していた。
日本製鉄が2023年12月に発表した141億ドル(約2兆2200億円)規模の買収案は米政界を中心に反対が根強かった。買収案では1株あたり55ドルで取得することになっているが、現在の株価は買収成立の可能性は低いと投資家がみていることを物語る。日本製鉄は買収を成立させるべく雇用や投資、経営体制について譲歩を示してきたにもかかわらず、バイデン氏が阻止を決定したことで、買収の望みは絶たれた可能性がある。
ただ、USスチールは今後について難しい問題が突きつけられる。売却手続きを一からやり直さざるを得なくなり、会社全体の買い手を見いだすのは困難となるかもしれない。日本製鉄が買収合戦を制する前に、オハイオ州を拠点とするクリーブランド・クリフスも買収に乗り出していたが、同社はその後、カナダの鉄鋼メーカーを買収。USスチール全体または一部を依然買収する意思があるかについて、同社は言葉を濁している。
日本製鉄もまた、代わりの成長源を模索する必要がある。
USスチールは長期の業績不振に悩まされている。巨額の新規投資が必要だと訴え、日本製鉄による買収が不成立に終われば、一部の製鉄所閉鎖やピッツバーグ本社の移転を強いられるかもしれないと警告していた。
原題:Biden Blocks Nippon Steel’s $14.1 Billion Takeover of US Steel、Biden’s US Steel Action Right for Workers, Security, USW Says、Biden’s US Steel Action Right for Workers, Security, USW Says(抜粋)
(第3段落の武藤経産相のコメントを更新します)
--取材協力:小田翔子、畠山朋子.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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