(ブルームバーグ):米政府機関の閉鎖で経済統計の発表が滞るなか、景気の明るい兆しを探っていた投資家に21日、企業から朗報が届けられた。米国を代表する大手企業が相次いで業績見通しを上方修正し、景気の先行きに対して楽観的な見方を示した。
ゼネラル・エレクトリック(GE)は航空需要の回復と整備や新造エンジンへの需要増を背景に、通期見通しを2四半期連続で上方修正。調整後の増収率見通しも「10%台半ば」から「10%台後半」へと引き上げた。日用品・工業品メーカーの3M、防衛大手ノースロップ・グラマン、航空・防衛大手RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)も利益見通しを引き上げ、先行きへの「自信」を強調した。
楽観的な見方は消費関連分野にも広がった。たばこ大手のフィリップ・モリスは利益見通しを引き上げ、従来示していた2024-26年の成長目標を上回るとの見方を示した。コカ・コーラのジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は「向こう1年は確実に成果を出せると確信している」と述べた。
自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)はピックアップトラックの販売急増と、トランプ政権による自動車部品関税の緩和を追い風に、通期見通しを引き上げた。
同社のメアリー・バーラCEOは株主宛ての書簡で、国内で完成車を生産・販売する自動車メーカーに適用されている既存の関税負担軽減措置が2030年まで延長されることについて、トランプ大統領に謝意を表明。「国内の調達および生産拠点のさらなる拡充に向けた投資を進める中で、GMは非常に有利な立場にある」と述べた。
これまでに決算を発表した米企業の多くは市場予想を上回る利益を計上している。ただ、決算シーズンが本格化する今後数日から数週間の間に予想外の悪材料が出る可能性もある。
それでも、「自信」を強調する経営トップの発言は、ここ数四半期の慎重な姿勢からの転換を示している。これまでは、多くのCEOが通期見通しの公表を控え、決算説明会では貿易や関税、消費動向の不透明感を強調していた。過去10カ月ほど、企業の多くは投資家の期待を意図的に抑えていた節がある。厳しい経済シナリオやトランプ氏による過激な通商措置が現実となっても、低めの業績予想であれば達成しやすく、場合によっては上振れも狙えるとの思惑がにじむ。
その戦略が奏功し、株価が過去最高値更新をうかがう企業も出ている。
ヘッジファンド・テレメトリーの創業者トーマス・ソーントン氏はブルームバーグ・ニュースに対し、「この相場を空売りするのは容易ではない。上昇相場が終わらないように感じるからだ」と語った。
原題:America Inc. Provides Upbeat Picture in Absence of Economic Data(抜粋)
--取材協力:ドーソン・チェスター、Jess Menton、Michael P Regan.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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