(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)ビットコインに積極的に投資する米マイクロストラテジーは、同社株式のS&P500種株価指数構成銘柄組み入れを目指す。実現すれば、インデックス型ファンドなどが同社株を大量に購入し、暗号資産はさらに一般化すると、同社創業者マイケル・セイラー氏の支持者らは期待している。
マイクロストラテジーは23日、指数組み入れ基準を全て満たしナスダック100指数に加わった。ドット・コム時代のソフトウエア会社からビットコイン投資を主体とする会社に変貌を遂げた結果、同社の株価は今年480%上昇。時価総額は米上位数社と肩を並べる規模となっている。
セイラー氏が今狙いを定めているのは、S&P500種組み入れだ。ウォール街関係者は容易ではないと見るが、デジタル資産関連の会計ルール変更で利益の基準を来年クリアできる可能性が増し自信を得ている。
セイラー氏は「来年については、公正価値会計の採用で当社のバランスシートに500億ドル(約7兆9000億円)の資産が計上されるため、楽観的だ」と先週ブルームバーグTVでコメント。「公正価値の下では、ビットコインが年間20%上昇すれば、100億ドルの投資収益が見込める。それが、S&P指数組み入れを巡り人々が最終的に求めていることだと思う」と語った。
ただそう簡単ではない。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの指数委員会は、構成銘柄変更で裁量権を行使する傾向があるため、適格基準を全て満たしても即座に採用される保証はない。マイクロストラテジーがビットコインのリスクを大きく取っていたり、既に複数のテクノロジー企業が存在感を示したりしていることもマイナスに働く可能性がある。
S&Pの広報担当者はコメントを控えた。
S&P500種の構成銘柄に採用されるには、4四半期連続で黒字を維持していることが必要。マイクロストラテジーはまだこの基準を満たしていないが、来年の新会計ルール導入で企業はデジタル資産をバランスシートに載せることが認められ、公正価値の変化を純利益として計上できるようになるため、この障害は取り除かれる。

マイクロストラテジーは23日、16日から22日までに約5億6100万ドル相当のビットコインを追加購入したと開示。平均取得価格は先週記録した過去最高値近辺だった。現在の保有残高は44万4262ビットコインで、市場価値は約413億ドル。
原題:MicroStrategy’s Long-Shot S&P 500 Bid Stokes Wall Street Agita(抜粋)
--取材協力:Katie Greifeld、Sonali Basak、Isabelle Lee.
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