ルーマニアの投資家、ダン・シュク氏は多くの人が憧れるイタリアの歴史あるサッカーチームのオーナーになった。

イタリア1部リーグ(セリエA)に所属するジェノア・クリケット・アンド・フットボール・クラブ(ジェノアCFC)のウェブサイトに18日掲載された発表文によると、シュク氏は4500万ユーロ(約74億円)の増資を引き受け、ジェノア株の約77%を取得。家具ブランドの創業者でもある同氏はルーマニアのサッカーチーム、ラピド・ブカレストも所有している。

だが、ジェノアを実際に保有していると主張する米投資家がクラブ売却に同意したことはないと反論し、問題が生じている。

ニューヨークの保険会社アドバンテージ・キャピタル・ホールディングス(A-CAP)はブルームバーグに対し、「外部にクラブを売却したと主張するジェノアCFCから声明が発表された」とし、「これは誤りだ」との認識を示した。

1893年に創設されたジェノアはイタリアで最も古くから継続運営されているサッカークラブで、今週末にはナポリと対戦する。

ジェノアの担当者は増資プロセスが最終的なものであり、シュク氏がクラブの過半数株式保有者になったと説明。ジェノアとシュク氏は今回のプロセス全般で法律事務所から助言を受けていたという。

複雑な歴史

ジェノアの所有権を巡る最近の歴史は複雑だ。2021年9月には米マイアミを拠点とし、複数のサッカークラブを傘下に収めていた777パートナーズがジェノアを買収した。

A-CAPは777への主要な貸し手で、ローンの一部は777の資産を担保としていた。777の資金繰り難に伴い、A-CAPはジェノアを取得したという。

A-CAPの広報担当者は発表資料で、「今回の売却疑惑に関して当クラブの株主は把握せず、承認や署名なしに、さらにクラブ株主の代表なしに実行された」と指摘。「ジェノアCFCの地位を偽ろうとするいかなる試みに対しても、当クラブの株主は積極的に争うだろう。クラブ経営陣が承認されていない今回の秘密工作で時間を浪費したことは残念だ」とコメントした。

一方、シュク氏は18日の声明で、「ジェノアCFCの株主になれたことは光栄であり、大きな責任だ」と表明。自身がジェノアのオーナーだと考えていることを明確にした。

クラブのサイトに掲載された声明によれば、取締役会はシュク氏による提案を承認。増資で既存株主は少数株主となる。セリエAの広報担当はコメントを控えた。

原題:Fight Erupts Over Who Really Owns Italy’s Oldest Football Club(抜粋)

--取材協力:Irina Vilcu.

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