オフィス復帰の義務化を巡る論争は、年明けに新たな区切りを迎える。

米通信大手AT&Tとサラダ専門店チェーンのスイートグリーンは、来年1月から現場以外のスタッフに対して出社の頻度を増やすよう指示した。AT&Tは米国のコーポレート部門でより多くの従業員に週5日出社を義務付ける。スイートグリーンは、店舗で働かないサポートスタッフ数百人に対し、週4日オフィス勤務制を導入する。両社で影響を受ける従業員は現在、週3日程度出社している。

両社に先立ち、アマゾン・ドット・コムの最高経営責任者(CEO)は9月に、コーポレート部門の従業員に対し、2025年からの週5日出社制への移行を指示。社内の協力やつながり、企業文化全体が強化されると説明していた。

スイートグリーンのジョナサン・ニーマンCEOは「あれが大きな転換点だった。『彼らが実行するなら、当社にもできる』と思った」と語った。

ニーマンCEOは最近のインタビューで、スイートグリーンが現在の「より柔軟な」週3日ないし4日の出社制度を1月2日から「ハードな週4日制」に移行すると述べた。

AT&Tの広報担当者は電子メールで、新型コロナウイルス感染症の流行中も含め、同社従業員の大多数と幹部らが週5日のオフィス勤務をしてきたと述べ、新規則で影響を受ける従業員の正確な人数について詳述を避けた。

職場で分断

何千人もの現場スタッフを雇用している両社は消費者によく知られた企業。ただ、一部従業員にリモート勤務を許可すると、持てる者と持たざる者の感覚が社内で生じ、職場で分断を招く恐れがあると、組織行動の専門家は指摘している。

過去2年間、リモートワークが多くの上司の予想よりもはるかに定着していることを受け、雇用主は無料の食事やその他の特典で労働者をオフィスに呼び戻す方式から、労働者に職場復帰を強制するやり方にシフトしつつある。

スターバックスなどの大手企業は、オフィス復帰方針に従わない場合は解雇される可能性があると従業員に通知。デル・テクノロジーズやウォール街の銀行は、リモート勤務者は対面での指導や学習の機会を逃すため、昇進が難しくなる可能性を示している。

オフィス復帰を巡る綱引きには、人的コストも伴う。新たな研究によれば、より厳格な方針は企業の採用と定着率に悪影響を及ぼす可能性がある。ピッツバーグ大学のマーク・マ准教授と共同研究者によると、「オフィス復帰の義務化後、企業で従業員の離職率が異常に高くなり」、テクノロジーや金融業界の女性や経験豊富な従業員の人材流出が深刻化していることが判明。そうした企業による欠員補充には「かなり長い」時間がかかるという。

原題:AT&T, Sweetgreen Demand More Days in Office, Joining Amazon(抜粋)

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