中国最高指導部は、国内消費の低迷を受け、より強力な景気刺激策を講じる意向を示している。しかし、「バズーカ」砲と呼ばれるような大規模な景気対策を直ちに打ち出す、あるいは製造業重視の政策を放棄するというわけではない。

共産党指導部は先週、ここ10年間で最も積極的な成長促進策を承認し、政府支出の拡大と追加利下げを示唆した。消費の促進が最優先事項に格上げされたが、こうしたことは過去10年間で2度目だ。16日に発表された11月の小売売上高は予想外の減速となった。

中国の李強首相は先週の「中央経済工作会議」で定められた計画を実行するに当たり、各省庁は「できるだけ早期」に積極的な行動を起こさなければならないと述べた。李首相が16日に主宰した国務院常務会議を踏まえ国営新華社通信が報じた。

ロイター通信は、 中国が来年の経済成長率目標を年5%前後に設定し、財政赤字目標については、対国内総生産(GDP)比4%に引き上げる計画だと伝えた。匿名の関係者からの情報を引用した。

エコノミストや外国政府は中国当局に対し、輸出が急増する一方で国内需要が低迷している経済のバランスを取り戻すよう求め続けている。

だが、このところ示唆された対策はデフレスパイラルを食い止め、不動産市場を救済するためアナリストらが必要だと考えるような抜本的な行動には及ばない可能性が高い。

中国国債の記録的な利回り低下は、消費支出の基盤となる信頼を回復するという政策当局が抱える難題を示している。

モルガン・スタンレーの邢自強氏が語る

モルガン・スタンレーの邢自強チーフエコノミスト(中国担当)はブルームバーグテレビジョンに対し、共産党は経済を再活性化させる「長い長い闘い」に直面しているとし、2025年は「試行の年」になると指摘。

共産党は「多くのことを試みるだろう。そして、それでは十分でないとみて、さらに試みを続ける」と予想し、「26年には最終的に適切な政策、つまり消費中心の刺激策と社会的セーフティーネット改革の組み合わせを見つけることができるかもしれない」と述べた。

内需促進は、世界2位の経済大国をハイテク製造業でけん引するという習近平党総書記(国家主席)の壮大な戦略からの根本的な転換を意味するものではない。

トランプ次期米大統領との貿易戦争により中国が国際市場へのアクセスを失うようなことがあれば、中国にとって国内消費を後押しすることが、貴重な製造業セクターを守ることにつながるだろう。

中国当局の新たな刺激策は週内にも公表され得る。米連邦準備制度が18日に利下げを発表する見通しで、中国人民銀行(中央銀行)に緩和余地が生じる。

中国は25年の経済ロードマップを来年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で初めて明らかにし、全人代で年間成長・財政赤字目標を確定する。つまり、政府支出の拡大は今後数カ月間、行われない公算が大きい。

共産党機関紙の人民日報は「経済成長を一定の水準に維持することは、発展におけるさまざまな矛盾や問題を解決する上で極めて重要」と論評している。

原題:China May Keep Trying to Spur Consumption Without Big Stimulus、China’s Premier Calls for Urgency in Implementing Economic Work、China Plans Around 5% Growth Goal, Higher Deficit, Reuters Says(抜粋)

(3段落目以降に新華社やロイターの報道を追加して更新します)

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