(ブルームバーグ):中国版インスタグラム風アプリのスタートアップ「小紅書」は、2024年の利益が10億ドル(約1540億円)余りに倍増する見通しだ。同アプリは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に中国の若者の間で人気が急増した。新規株式公開(IPO)の可能性が視野に入る。
事情に詳しい複数の関係者の話では、同社は今年の純利益がこの節目を突破する見通しだと投資家に伝えた。これはコロナ禍の最盛期から数年間にわたって鈍化したユーザー数の伸びよりも、最終的な収益にあらためて重点を置いていることを反映していると、非公開情報を理由に関係者が匿名で語った。
この好業績により、21年の直近の資金調達ラウンドで企業価値を200億ドルと評価された小紅書を巡り、IPOの臆測が再燃する可能性が高い。同社の広報担当者はコメント要請に応じなかった。
小紅書は13年に米国のインスタグラムと同様に旅行や食事の写真の投稿サイトとして立ち上げられた。その後、商品レビューやライブコマースにも事業を拡大。現在、月間アクティブユーザー(MAU)は約3億人に達している。
その急速な成長は、既存の電子商取引大手であるアリババグループやJDドットコム(京東)のシェアを脅かす形となっている。字節跳動(バイトダンス)の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版「抖音(ドウイン)」と同様、インフルエンサーを通じた販売促進で爆発的な成長を遂げた。利用者は動画や写真をスクロールし、タグ付けされた商品をわずか数回のクリックで購入できる。

しかし、深刻な景気低迷で中国の消費者が財布のひもを固く締める中、電子商取引はより広範囲にわたって減速している。コロナ禍のピーク時には数多く人々が自宅待機を余儀なくされ、スマートフォンに娯楽や必需品の入手を頼っていたが、当時と比較するとアプリの成長は全般的に鈍化している。
多くの非公開企業と同様に、小紅書には財務状況の開示義務がなく、独立監査の対象にもならない。しかし、多くのスタートアップは、出資者や潜在的な投資家に対して業績を報告している。
アリババグループなどの著名企業から出資を受けている小紅書は、中国で非公開企業として運営されている数少ない主要インターネット企業の一つだ。
原題:China’s Instagram-Style Xiaohongshu Crosses $1 Billion in Profit(抜粋)
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