16日の日本市場では債券が下落。米国の利下げペースが今後減速する可能性が意識される中、前週末に米金利が上昇(価格は低下)した流れを受けて終日売りが優勢となった。

円相場は対ドルで一時約3週間ぶりの安値を更新。今週開かれる日本銀行の金融政策決定会合では利上げが見送られるとの予想も広がり、日米金利差はなかなか縮まらないとみられた。株式は小幅に続落。国際原油市況の下落を材料に石油株が売られ、陸運や保険株も安い。

市場の金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)では、日銀12月会合での利上げ織り込みは10%台にとどまる。

ペッパーストーン・グループの調査責任者、クリス・ウェストン氏は「いくつかの大きなイベントリスクを考慮すると、今週はトレーダーにとって少し厄介な週になるかもしれない」と指摘。金融政策を巡る不確実性はさらなるポジション調整とリスク回避につながる可能性があると話した。

債券

債券相場は下落。インフレ率の高止まりから来年の米利下げペースが緩やかになるリスクが意識される中、前週末の米長期金利の上昇を受け売りが優勢となった。

岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、米金利の上昇や17日に20年債入札を控えていることが相場の重しだと指摘。また、日銀の今月の利上げ見送り観測から円安が一段と加速すると、利上げ観測が再び強まりかねない点も懸念材料だと話した。

20年債入札については、このところの超長期金利の上昇もあり、「1.9%前後の利回りであれば押し目買いも入り、無難に消化される」と予想した。

新発国債利回り(午後3時時点)

外国為替

東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=154円に接近し、約3週間ぶり安値を更新した後、下げ幅を縮小した。来年は米国の利下げペースが減速するリスクが意識される一方、日銀が今週の金融政策決定会合で利上げを見送るとの見方からドル買い・円売りが優勢になったが、今週の日米の金融政策はある程度織り込み済みとの見方から円を買い戻す動きも出た。

オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、実際に日米の金融政策決定を受けてイールドカーブが動くかどうかは微妙で、「日米金利差が飛躍的に拡大するわけではなく、ドル・円は短期的には政策決定を受けて『噂で買って、事実で売る』展開になる可能性がある」と述べた。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「チャート上で特段の目安もない1ドル=154円はすんなり超えてもおかしくない」とみる一方、今週の日米金融政策に関する持ち高調整はほぼ終了したとし、「19日の日銀会合結果を比較的静かに待つのではないか」との見方を示した。

株式

東京株式相場は続落。日米金融政策の不透明感から様子見ムードが強い中、国際原油市況の下落を材料に石油株が安く、陸運や電気・ガス、小売りなど内需セクター、保険株も下げた。

日米英などの中央銀行会合を今週に控え、主要株価指数は終日方向感に乏しい展開。機動的な投資マネーは値動きの軽い小型株に向かう動きも散見され、TOPIXの時価総額・流動性別の指数を見ると、コア30に比べスモール指数の下げは小さかった。

東証33業種は24業種が下落、上昇は繊維製品やその他製品、ゴム製品、機械など9業種。売買代金上位では東京海上ホールディングスや第一三共、オリエンタルランド、東京電力ホールディングス、東京地下鉄が安く、ディスコやアドバンテスト、ソシオネクスト、フジクラは高い。

ニッセイアセットマネジメントの伊藤琢チーフ株式ファンドマネジャーは、パフォーマンスの良かった銘柄が売られ、反対の動きも見られていると指摘。投資家が年末休みに入る中、短期的な値動きを狙うことに加え、株価の重しだった悪材料が出尽くすことを期待する買いも中小型株の一角に向かっていると話した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:酒井大輔、Matthew Burgess.

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