日本生命保険は11日、米系生保のレゾリューションライフを完全子会社化すると発表した。すでに発行済み株式の約23%を保有しており、残りの約77%を米投資ファンドのブラックストーンなどから約82億ドル(約1兆2000億円)で取得する。

発表資料によると、関係当事者間で合意した。取得は手元資金で賄い、2025年下半期をめどに完全子会社する予定。日本生命は19年の出資以降、レゾリューションに累計で16億5000万ドルを投資してきた。完全子会社化により、米事業を中心に安定的な拡大が見込まれる海外事業の取り込みを図る。

日本生命にとってレゾリューションの買収は、人口減少で国内の保険事業を巡る環境が厳しさを増す中、進めている事業の多角化や収益力強化策の一環となる。大型買収により海外事業を拡大して成長を加速させる狙いだ。

清水博社長は同日午後の記者会見で、海外事業の拡大に向け「世界最大の米保険市場に中核となる事業を持ちたいとは考えてきた」と説明。レゾリューションの再保険などの事業は今後も拡大するとみて、「早い段階でこれからのポテンシャルを取っていくことが、ベストな選択」と追加出資の判断に至った経緯を説明した。

ブルームバーグのデータによると、今回の日本生命による買収額は国内保険会社としては、15年6月に発表された東京海上ホールディングスによる米HCCインシュアランス・ホールディングス買収の約9413億円を上回り、過去最高となる。日本生命側の財務アドバイザーはJPモルガン証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券が務めた。

日本生命の看板

日本生命は今年3月、投資財源として2兆円超を確保し、米国など先進国の生命保険会社や資産運用会社への投資により海外事業を強化する方針を示していた。今回の発表資料によると、事業投資額は国内分と合わせ35年に向け4兆円程度を想定しているという。

清水社長は、海外での資産運用事業に関連して、17年に出資した「米TCWグループを核にしながらグローバルアセットマネジメント戦略を構築していきたい」とし、「TCWへの出資比率引き上げは選択肢の一つ」と述べた。

レゾリューションは22年10月にブラックストーンと戦略的提携を締結。他の生保から契約を取得・集約し、資産運用リターンの改善やコストの効率化により収益化している。完全子会社化により日本生命は、グループ基礎利益で500億円の貢献を見込み、同基礎利益の海外比率は4%から20%に上昇するとしている。

レゾリューションの完全子会社化に伴い、連結子会社でオーストラリアの保険事業を手がけるMLC株にも500億円を追加で投じて完全子会社化し、数年後に豪州レゾリューションと合併させる計画も発表した。

日本生命は5月、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)傘下の米生保コアブリッジ・ファイナンシャルの発行済み株式の約21.6%を取得すると発表。今月9日に38億3800万ドル(約5850億円)で取引を完了したばかり。

 

一方、国内事業では23年11月に介護最大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングス(HD)を買収すると発表。シニア向け事業など保険以外のビジネスも強化している。

(第4、5,7段落に日本生命の清水社長のコメントなどを追加して更新します)

--取材協力:エディ・ダン、鈴木偉知郎.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.