フェイスブックの親会社、米メタ・プラットフォームズが、ルーマニア大統領選を巡り親欧州連合(EU)の野党党首ラスコーニ候補を攻撃する3600件余りの政治広告のフェイスブック投稿を許可し、カリン・ジョルジェスク候補ら極右の宣伝に寄与していたことが調査で示された。

広告キャンペーンは24の別個のフェイスブックのページで展開されていたように見えるが、ホスティングや広告、電子メールの基盤は共有されており、選挙への影響を狙った組織的取り組みだったことが示唆されている。デジタル分野の脅威を研究するリセットテックとチェックファーストがリポートで指摘した。

同リポートによると、フェイスブックとインスタグラムへの政治的な投稿で広告費として最大22万4083ユーロ(約3600万円)が費やされたが、そうしたネットワークの裏に誰がいるかは明らかになっていない。

親ロシア派のジョルジェスク候補は、 中国のバイトダンス(字節跳動)が運営する動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を駆使して、ほぼ無名の状態から11月の大統領選第1回投票で首位となった。この衝撃からソーシャルメディア企業の役割は厳しい監視下に置かれている。

ルーマニア当局はTikTokにフォーカスし、「大規模な露出と優先的な扱い」をジョルジェスク氏に提供したと非難した。だが今回のリポートからは、選挙結果に影響を与えようとするさらに広範な取り組みの存在が示唆されている。

ルーマニア憲法裁判所は6日、ロシア関与の疑いを理由に、大統領選第1回投票を無効とした。これに先立ちルーマニアの情報機関は、ジョルジェスク氏のTikTokを利用した選挙キャンペーンに、海外の「国家主体」が関わっていた可能性を示す文書を公開した。

同文書では、ルーマニアが「ロシアによる積極的なハイブリッド攻撃」の標的だったとの言及も見られた。ロシアは一切の関与を否定している。

リポートでは、「ルーマニアの選挙キャンペーンではデマを拡散したTikTokの役割が注目されたが、フェイスブックやインスタグラムといったメタのプラットフォームが、攻撃的な政治的メッセージ、未検証の主張、極論の拡散に利用されたことが新たな証拠で明らかになった」と指摘している。

メタはリポートの内容についてコメントを控えた。一方で同社は、国際問題担当プレジデントのニック・クレッグ氏による先週のコメントに言及。同氏はユーロニュースの取材に対し「当社のルーマニアのプラットフォームで重大な問題に関する証拠は何も見つかっていない」と語り、メタは「ほぼ毎日」ルーマニア当局と連絡を取っているとしていた。

メタは今年、世界で約20件の秘密工作を削除したが、そうした活動の最大の発信源はロシアだったとしている。クレッグ氏が先週、ブログへの投稿で明らかにした。

ルーマニアの複数の親欧州政党は9日、中止となった大統領選後の新政権樹立に向け協議を始めた。

国民自由党のムレシャン暫定副党首は、「危険は去ったわけではなく、ロシアはルーマニアや他の欧州諸国の選挙に影響を与えようとし続けるだろう」とブルームバーグ・ニュースに語った。

原題:Covert Facebook Network Found Targeting Romanian Voters (1)(抜粋)

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