10日の東京株式相場は堅調。日本銀行の利上げ観測の後退で外国為替市場で一時1ドル=151円台半ばまで円安が進んだほか、中国共産党が金融緩和と財政支出を拡大する方針を示し、業績や世界景気の先行きを楽観視する買いが優勢だ。自動車や電機など輸出関連株、鉄鋼や商社株、鉱業株などが高い。

半面、保険や証券、銀行など金融株は軟調。情報・通信や小売りなど相対的に内需セクターは安く、主要株価指数の上値は重い展開だ。日米ともに金融政策の先行きに不透明感が強く、積極的に買い上げる動きは限られている。

TOPIXを構成する2127銘柄中、上昇は1044、下落は951。売買代金上位では東京エレクトロンやソニーグループ、ダイキン工業、資生堂が高い半面、フジクラや三菱重工業、任天堂、ニトリホールディングスは安い。

フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、市場参加者は中国の経済見通しにかなり悲観的だったため、昨日の中国共産党の発表は多くのポジティブな感情を生み出し、市場を押し上げたとの見方を示した。

一方、東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、米国の金融政策に影響を及ぼし得る消費者物価指数(CPI)の発表を11日に控えており、投資家は様子見姿勢を強めやすいと話していた。

市場関係者の金融政策見通しを反映するオーバーナイト・スワップ・インデックス(OIS)を見ると、日本銀行の12月利上げの織り込みが2割台に低下する一方、米12月の利下げの織り込みは8割台半ばに達している。

インサイト

  • 東証33業種中、16業種が上昇、下落は17業種。上昇率上位は鉄鋼、卸売業、輸送用機器、電機、鉱業、海運など。下落率上位はその他製品、保険、非鉄金属、医薬品、証券・商品先物、情報・通信など
  • MSCIアジア太平洋指数は0.2%高

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