ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのジャン・ボアバン氏は、長期の米国債よりも米国外のグローバル債を選好すべきだとの見方を示した。根強いインフレにより、来年の米利下げ余地が限られることを根拠に挙げている。

同氏は「インフレが制御不能になることはないが、利下げ余地が広がるような動きにもならないだろう」と指摘。「これは緩和サイクルの始まりではなく、調整、再調整にとどまるだろう」と語った。ブルームバーグのインタビューに4日、応じた。

米金融当局が9月に利下げを開始して以降、2年、5年、10年物の各米国債利回りは3.5%前後から4%超に上昇している。堅調な経済指標を受け、市場で積極的な利下げ観測が後退したことが背景にある。市場で織り込まれている今後1年間の利下げ幅は、75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)強にとどまる。

複数のFRB当局者は今週、トランプ次期大統領が目指す減税や規制緩和、関税が経済成長やインフレを促す可能性を踏まえ、3%前後の中立金利に向け来年は慎重に利下げを行う考えを示唆している。

ブラックロックの調査部門は4日、2025年のグローバル見通しを公表。米長期国債を「戦術的にも戦略的にも」アンダーウエートとした。ボアバン氏は米社債に加え、中央銀行の緩和余地が来年大きい英国債など米国外の債券を選好していると説明した。

同氏は米国の債務急増や慢性的赤字に対する懸念を改めて示し、返済コストが市場で問題になると警鐘を鳴らした。

ボアバン氏は「長期債利回りの急上昇」に伴うリスクにも言及。10年債利回りが「従来よりも持続的に5%に近づくか、より長く同水準で推移すると認識される」可能性も排除しておらず、米国の予算に影響が及び、投資家が米国債保有に追加の利回りを求めるよう促されるリスクがあるとした。

原題:BlackRock’s Boivin Says Global Bonds Favored Over US Treasuries(抜粋)

--取材協力:Isabelle Lee.

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