米国で大学の閉校数が大幅に増加する見通しだ。大学進学希望者の減少が背景にある。

米フィラデルフィア連銀の調査で明らかになった。調査では入学数や人員配置、収入源、流動性といった指標を使い、学校の財政難を予測するモデルを作成。そうしたモデルとシミュレーションを基に、将来の閉校数を予測した。

「人口の崖」として知られる進学希望者が一時15%減少する最悪のシナリオでは、閉校数が80校増加し、10万人余りの学生と2万880人のスタッフに影響が及ぶ見込みだ。 調査リポートによると、学生数の減少が5年にわたり続いた場合、毎年4.6校のペースで閉校数が増えることになる。

リポートを執筆したテネシー大学の教授でフィラデルフィア連銀の客員研究員、ロバート・ケルヘン氏は、「これらのシミュレーションは、中等後教育が今後数年で直面する恐れのある不安定な状況を示している」と指摘。特に「人口の崖」が中程度から深刻な形で現実になった場合に当てはまるという。

グレートリセッション(金融危機をきっかけとする景気後退)下での少子化の影響で近年、大学進学希望者数は減少し、高等教育は厳しい状況に追い込まれている。 これに加え、学費の高騰や学生ローンが負担となり大学の学位の価値を疑問視する学生は増えている。

また今秋、大学の学費カバーのため米政府から借り入れが必要な学生のコストは、過去15年間余りで最も高かった。

学位を授与する大学に入学した学生数は2021年に10年比で15%減となった。 卒業率の低下や高校卒業直後に入学する学生数の減少を受け、「人口の崖」の影響はさらに拡大していると調査の研究者らは指摘している。

閉校が増えれば学生のアカデミックな進路に悪影響が及ぶほか、大学の雇用者数が多い場合は地域経済に打撃を与える可能性もある。調査によると、米国の高等教育は総額約7000億ドル(約105兆円)の支出を生み出し、約2500万人の学生が在籍、約300万人を雇い入れている。

原題:US College Closures Are Expected to Soar, Fed Research Says(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.