(ブルームバーグ):トランプ次期米大統領が、マクロヘッジファンド運営会社の経営者スコット・ベッセント氏を次期財務長官に指名するとの発表を受け、アジア時間25日の取引で、米国債相場が上昇し、ドル相場は下落した。
ベッセント氏の起用は、米経済と金融市場により安定をもたらす「慎重な選択」と歓迎するムードが広がった。
米2年国債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、4.34%を付けた。10年国債利回りは6bp低下の4.34%。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.5%下げた。
アジア太平洋各地の株式相場も日経平均株価が一時2%上げたほか、オーストラリアの株価指標S&P/ASX200指数、米株価指数先物もプラス圏で推移した。
キー・スクエア・グループの創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるベッセント氏は、トランプ氏が掲げる関税や減税を支持する意向を示しているが、政治的得点を稼ぐより経済と市場の安定を優先すると投資家は期待している。
次期大統領の保護主義的政策がインフレ加速と貿易摩擦の悪化、市場のボラティリティー増大を招くとの不安が、ベッセント氏の起用で和らいだ。

輸入価格上昇や減税に伴う金利高止まりを織り込むトレーダーの動きが後退し、ドル高とビットコイン高騰に代表される「トランプトレード」の誘因は弱まりつつある。
アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェーコブセン氏はブルームバーグTVの番組で、ベッセント氏について「大きな政策変更を一挙に行うビッグバン的アプローチとは対照的に漸進主義的な感覚を政権にもたらす」と分析。「米国第一主義」的政権だが、「米国以外を締め出すような排他主義」的でないというシグナルに市場は安堵(あんど)するかもしれないと見解を示した。
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)の市場リサーチ責任者スカイ・マスターズ氏は「ベッセント氏が経済と市場の安定を優先するとの期待を前提とすれば、債券自警団はトランプ氏の政策の実現を見守ることになるのでないか」とリポートで指摘した。
これに伴い投資家の関心は米国の政治を当面離れ、経済情勢と米金融政策の目先の軌道に戻る可能性がある。
原題:Stocks, Bonds Rise as Traders Embrace Bessent: Markets Wrap、US Bonds Gain After Bessent’s Nomination as Treasury Secretary(抜粋)
(エコノミストの見解などを追加して更新します)
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