トランプ次期米大統領が連邦通信委員会(FCC)委員長に起用するブレンダン・カー氏は大手テクノロジー企業や放送局によるコンテンツ選択を巡り異議を唱える方針だ。

起用が発表された直後の17日遅く、カー氏(45)はソーシャルメディアX(旧ツイッター)で、FCCに対し「検閲カルテルを解体し、米国人の日常の言論の自由を回復する」よう求めるなど要求を立て続けに投稿した。これはフェイスブックなどのソーシャルメディアによる不快とみなされるコンテンツの制限について言及している可能性が高い。

ブレンダン・カー氏

カー氏は他のFCC当局者とは異なり、トランプ氏支持者として有名なイーロン・マスク氏が所有するXへの投稿を気ままに行うことで知られる。同氏はマスク氏がXを買収する前からソーシャルメディアの影響力を活用してきた。

カー氏はまた、トランプ氏の返り咲きをマスク氏が支持するはるか前から同氏と足並みをそろえていた。カー氏はFCCの規則が低軌道衛星群などの新興技術よりも光ファイバーのようなインターネット配信テクノロジーを優先していると主張し、警鐘を鳴らしていた。マスク氏のスペースXはこれらの衛星を軌道に打ち上げる予定で、そのためにはFCCの承認を得る必要がある。

保守派はソーシャルメディア企業が新型コロナウイルスを巡る偽情報など問題視される投稿を削除していることを長年批判してきた。カー氏は昨年の議会証言で「インターネット企業に圧力をかけ、米国人の保護された言論を検閲させる現政権のキャンペーン」を批判。2022年には「大手テクノロジー企業が特定の政治的発言や見解を検閲することを禁じる」テキサス州の州法を支持した控訴裁判所の判決を称賛した。

カー氏は、ブロードバンドプロバイダーに全てのトラフィックを同じように扱うよう義務付ける、いわゆる「ネットの中立性」に関する規則には反対している一方、オンラインプラットフォームに対しては、基準に違反したとして削除される可能性がある投稿について中立性の義務を負うべきだと提案している。

また検索結果を操作したり、ユーザーアカウントを禁止または停止したり、コンテンツ制作者を「一見して一貫性なく」収益化できないようにしたりしているとして、グーグルやフェイスブック、ユーチューブなどのプラットフォームにもブロードバンドに関する透明性開示を適用するよう求めた。

放送局もカー氏の標的になる可能性が高い。

カー氏は18日の投稿で「放送メディアは希少かつ貴重な公共資源である電波を利用する特権を得てきた」とし、「その見返りとして、放送局は公共の利益のために運営することが法律で義務付けられている。政権移行が完了すれば、FCCはこの公益義務を執行することになる」とコメントした。

さらにテクノロジー企業やメディア企業に新たな義務を課すとともに、インターネットインフラを大量に活用しているプラットフォームに課金することも提案した。これは、ブロードバンドインフラの拡張や低所得者層の電話やインターネット利用の支払いを支援するFCCのユニバーサルサービス基金の強化につながるもので、AT&Tなどの企業が支持している。

原題:New FCC Chair Is a Fan of Elon Musk, Not Diversity Initiatives(抜粋)

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