記事のポイント
・「強い米国」と「弱いその他」がテーマとなって原油安が進む中、米金利上昇は続くのか
・現実的には「米国一強」には限界があり、実質長期金利も低下へ
・イメージ先行の米金利上昇やドル高は続きにくいと予想される
「強い米国」と「弱いその他」がテーマとなって原油安が進む中、米金利上昇は続くのか


11月5日の米大統領選ではトランプ氏が勝利し、関税の引き上げや減税政策などトランプ氏の政策に注目が集まっている。米国内におけるインフレ高進と成長加速、財政悪化懸念などが意識され、長期金利は高めの推移が続いている。もっとも、関税の引き上げは他国にとってはマイナスの影響が予想されることもあり、「強い米国」と「弱いその他」という構図になる可能性も意識されている。その結果、米国市場ではインフレ高進(高止まり)がテーマになっている一方で、原油価格は弱めの推移にとどまっている。その結果、これまで連動してきた米長期金利とWTI原油先物価格の連動性は大きく低下している。むろん、財政拡張などで米経済が強含めば、他国に比べて相対的にインフレ率は高めに推移する可能性はある。しかし、コモディティ価格が下落すれば米国のインフレ率も下押しされる可能性が高い。インフレ予想(BEI)の低下を通じて、長期金利も低下していく可能性が高いと、筆者は予想している。

