(ブルームバーグ):フランスの高級品ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは、創業者で富豪のベルナール・アルノー氏の息子の1人で米宝飾品大手ティファニーの幹部を務めるアレクサンドル・アルノー氏をパリ本社に呼び戻す人事を決めた。

次男アレクサンドル氏はワイン・蒸留酒部門の副責任者に就任する。同部門はLVMHの最高財務責任者(CFO)を務めていたジャン・ジャック・ギオニー氏が率いる。ギオニー氏は後継者とされていたセシル・カバニス氏にCFO職を譲る。
LVMHは新たな人事担当トップも任命。同グループで17年以上にわたって勤務したシャンタル・ガンペール氏の退社を発表し、後任に複数部門で人事を担当してきたモード・アルバレスペレイル氏が就く。
ガンペール氏の突然の退任や、財務部門やワイン・蒸留酒部門の人事異動など今回の一新は、ルイヴィトンのオーナー企業における最高経営陣の最終的な後継者についてさらなる臆測を呼びそうだ。75歳のベルナール・アルノー氏は現時点では依然として経営のかじをしっかりと握っているが、同氏の5人の子供は全員、グループ内で要職についている。

アレクサンドル氏(32)はLVMHによる2021年の買収完了以来、米ティファニーで商品とコミュニケーションを担当する役職に就いていた。新ポストではLVMHで21年間勤務したフィリップ・ショース氏の後任としてワイン・蒸留酒部門のトップに就任するギオニー氏と協力することになる。
同部門は、シャンパン「ドン・ペリニヨン」やコニャック「ヘネシー」などのブランドを展開しているが、中国人消費者が高価なブランデーの購入を控えているため、ここ最近は苦戦を強いられている。数年にわたる好況でLVMHは一時は欧州で時価総額最大の企業となり、ベルナール・アルノー氏は世界一の富豪に浮上したこともあるが、高級品業界全体の低迷で7-9月(第3四半期)の同部門の売上高は、買収や資産売却、為替変動などを除いたベースで7%減少した。
LVMHは経営執行委員会の若返りを進めており、複数の古参幹部が退任。今年に入りトニ・ベローニ氏(70)の後任として、ステファン・ビアンキ氏(59)を副CEOに昇進させた。
アルノー氏の資産は、高級品需要の低迷を背景に今年に入って目減りしている。13日時点で1635億ドル(約25兆円)で、ブルームバーグ・ビリオネア指数では世界の富豪5位。
原題:LVMH Moves Alexandre Arnault to HQ, Fueling Succession Talk (1)(抜粋)
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