11月第3週(18-22日)の債券市場では、長期金利の上昇(債券価格の下落)が予想されている。外国為替市場で円安が進行する中、日本銀行の早期利上げ観測が高まっており、中長期ゾーンを中心に利上げの織り込みが進む見通し。日銀の植田和男総裁が18日と21日に発言する機会が予定されており、タカ派的な発言に対する警戒感が強い。

市場参加者の見方

◎三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャー

  • 12月の利上げの織り込みがさらに進むのか、植田総裁の発言に注目。総裁は「時間的余裕がある」との表現は使わないと言っている
  • 日銀は米国経済に対する判断をオントラックとする、もしくは前進させる可能性がある。足元の円安をどう見ているかも焦点
  • 超長期債は買い手が少ない20年債入札が警戒され、財政懸念や来年度の国債発行計画など、金利上昇が止まらない材料探しの状況
    • 日銀の利上げペースは「ビハンド・ザ・カーブ」(後手に回る)との思惑が高まれば、利回り曲線はスティープ(傾斜)化していく
  • 新発10年国債利回りの予想レンジは1.05-1.15%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト

  • 米長期金利の上昇とともに円安が進む中、早期の追加利上げを織り込む動きが続く。投資家は慎重姿勢を維持し、10年債利回りは緩やかに上昇する
  • 全国消費者物価指数(CPI)は日銀の目標を上回った状態がしばらく続くと予想され、市場は0.25%の追加利上げをある程度織り込んでいる
  • 日銀の国債買い入れオペが2回予定され、需給面から相場を支えるが、中期債利回りの大幅な低下は見込みづらい
    • 追加の経済対策による財政支出拡大の懸念から、長期・超長期債利回りにも上昇圧力
  • 新発10年国債利回りの予想レンジは1.03-1.11%

国債入札

日銀買い入れ

主な材料

  • 18日:日銀の植田総裁、名古屋市で金融経済懇談会と記者会見
  • 18日:主要20カ国・地域(G20)首脳会議(リオデジャネイロ、19日まで)
  • 21日:日銀の植田総裁、パリ・ユーロプラス・ファイナンシャル・フォーラムで講演・質疑応答
  • 22日:10月の全国消費者物価指数(CPI)
  • 22日:11月のS&Pグローバル米製造業・サービス業・総合PMI

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