日本経済は7ー9月期に2四半期連続のプラス成長となった。個人消費が押し上げに寄与した。景気の緩やかな回復を示しており、追加利上げの時期を探る日本銀行の想定に沿う内容となった。

内閣府が15日発表した同四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率0.9%増。前期からプラス幅は縮小したものの、市場予想の0.7%増を上回った。前期比では0.2%増。過半を占める個人消費が0.9%増と2期連続のプラス。自動車や携帯電話機、飲料・食料品が伸びた。一方、設備投資は0.2%減と2期ぶりのマイナスとなった。輸出は0.4%増で、輸出から輸入を差し引いた外需寄与度はマイナス0.4%と3期連続のマイナスだった。

日銀は経済・物価見通しが実現していけば金融緩和度合いを調整していく姿勢を崩していない。米大統領選後の一段の円安進行もあって市場で早期の追加利上げ観測が高まる中、日銀が重視する賃金と物価の好循環に加えて、個人消費を中心とした景気回復が持続するかかが焦点となる。

大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、「景気は緩やかながらも回復基調が続いている。日銀の言葉でいうオントラック(想定通り)の流れに追い風となる結果だ」と指摘。現時点で来年1月の利上げを想定しているが、米国の政治情勢や日本の経済対策次第では12月への前倒しもあり得るとの見方を示した。

 

ブルームバーグが10月の金融政策決定会合前に実施したエコノミスト調査では、次回の利上げ時期の予想は12月が53%、来年1月が32%で、両会合で85%を占めた。

政府は月内に総合経済対策を策定する。ブルームバーグが入手した経済対策案によると、住民税非課税世帯に対する給付金や電気・ガス代への補助再開を盛り込む方針。国民民主党が税制改正での実現を求めている、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」見直しの扱いが焦点となっている。

低所得世帯に3万円給付へ、電気・ガス代補助も再開-経済対策案

楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストは、経済全体としては減速しているためGDPギャップは改善しないとした上で、「石破政権からすると、その部分をしっかり経済対策をやって埋めないといけないという理由付けがしやすくなる」と指摘。「そういう意味で今回の数字は政府にも日銀にとってもいい内容だったと言える」と語った。12月会合での利上げの確度が高まっていると愛宕氏はみている。

内閣府が9月に公表した4-6月期のGDPギャップの試算値はマイナス0.6%だった。

赤沢亮正経済財政相は15日の閣議後会見で、「雇用・所得環境が改善する下で、景気の緩やかな回復が続くことが期待される」としつつも、海外経済の下振れリスクや市場変動に十分注意が必要だと述べた。日銀の金融政策は2%物価目標の下でそれを超える賃上げで実質賃金が安定して上がっていく状態を目指しており、「基本的な認識は共有している」と説明。具体的手法は日銀に任せるとの考えを改めて示した。

(最終段落に赤沢経済財政相の発言を追加して更新しました)

--取材協力:野原良明.

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