(ブルームバーグ):14日の日本市場では円相場が対ドルで続落し、一時約4カ月ぶりに156円台を付けた。米国で共和党が上下両院を制することが確実となり、トランプ次期政権のインフレ的な政策の実現を見込んだドル買いが進んだ。
米下院選挙で共和党が多数派を維持する見通しとなり、ホワイトハウスと議会の全てを同党が掌握する「トリプルレッド」が実現する。市場ではトランプ次期大統領が掲げる財政拡張などの政策実現性が高まるとの見方からドル買いや債券売りの「トランプトレード」が続いている。
債券相場は超長期債を中心に下落し、30年債利回りが約14年ぶりの水準に上昇。米国で超長期債利回りが上昇したことや、円安の進行で日本銀行の早期追加利上げ観測が強まっていることを背景に売りが優勢だった。株式は下落。
為替
円相場は一時1ドル=156円台に下落し、約4カ月ぶり安値を更新。前日に心理的節目の155円を下回ったことに加え、トランプトレードの流れから売りが加速した。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、今回のトランプ政権は前回より強気で政策を進めるとみられているとし、「ヘッジファンドもトランプトレードに賭けており、年内はドル買いが続きそうだ」と述べた。
日本の通貨当局による円安けん制への警戒感も高まっている。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは「少し投機的な動きが目立っているのは確かで、介入には動きやすい」と指摘。実弾介入については160円をめどに、円安のスピード次第ではより円高の水準で実施されるリスクはあると語った。
債券
債券市場で新発30年債利回りは一時前日比3bp高い2.305%に上昇。6月に記録した今年の最高水準2.29%を上回り、2010年以来の水準に達した。
米超長期金利の上昇や日銀の早期利上げ観測に加え、少数与党政権の第2次石破茂政権が財政拡張的な政策を進めるとの見方から、残存期間の長い国債に財政悪化を懸念した売り圧力がかかった。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、13日の30年債入札は順調に消化されたが、その後の買いが続かないと指摘。「根底には来年の参院選に向けて国内でも財政拡張圧力が高まることへの懸念があるのかもしれない」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)

株式
東京株式相場は下落。日米の長期金利上昇が重しとなり、主要株価指数は朝方の上昇を維持できなかった。前日に公募増資を発表した関西電力など電力株が売られ、相場を押し下げた。
ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは、ドル高・円安にもかかわらず日本株が振るわないのは、トランプ氏の政策の「負の側面」を意識しているのではないかと話した。
一方、米国で13日に発表された消費者物価指数が市場予想通りとなり、利下げ継続による同国景気の堅調期待から自動車や機械など輸出セクターの一角、商社や非鉄金属株が堅調。金利上昇の恩恵を受ける銀行株も上昇した。
--取材協力:酒井大輔、長谷川敏郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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