12日の日本市場では日経平均株価が下落。米国のテクノロジー株安が波及し、国内でも半導体関連を中心に売られて相場の重しになった。債券は下落し、円は1ドル=153円台後半でもみ合った。

トランプ新政権による景気対策への期待から米国株相場が高値を更新しており、日本でも金融や自動車などが買われて東証株価指数(TOPIX)は小反発した。ただ、国内の政治不透明感が根強い中、継続的に買いを入れる手掛かりに乏しく、TOPIXも一時下げに転じた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、米国以外では関税のリスクが意識されていると指摘。「日本株は衆議院選挙以降、政局不安が夏の参院選まで続くという警戒感もある」と話した。

株式

東京株式相場は日経平均が下落。米トランプ政権の拡張的な経済政策への期待から買いが先行したものの、半導体関連株の下げが次第に重しになった。国内企業の決算が低調で相場の上値を追う手掛かりにも乏しく、材料出尽くしと見た売りに押された。

レオス・キャピタルワークスの福江優也トレーダーは、米大統領選挙後のトレードが巻き戻されている印象だと言う。足元の企業決算は良くなく、中国の景気対策も予想範囲内のもので、日本株をさらに買うシナリオは描きづらいと分析。米国株が堅調なため、今後も上値は期待できるものの、「日本でアクセルを踏むためのカタリストは特に見当たらない」と述べた。

トヨタ自動車が2.4%上昇し、TOPIXの上昇に最も寄与した。指数を構成する2128銘柄のうち上昇は1015、下落は1004と拮抗(きっこう)した。

債券

債券相場は下落。米長期金利が時間外取引で上昇した上、円安進行を背景とした日本銀行の追加利上げ観測も根強く、新発10年国債利回りは再び1%台に上昇した。13日の30年国債入札に対する警戒感も相場の重しになった。

大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、30年債入札について「超長期債は年度内の発行減額が難しそうな状況で、現時点では金利水準とカーブ上から見て需要に不透明感がある」と話した。10年債利回りの1%は「相場に底堅さがある水準」で、12月か来年1月の利上げの行方に市場の注目が集まる中、「今後の植田日銀総裁からの情報発信を待つ必要がある」と言う。

日銀は午前の金融調節で定例の国債買い入れオペ実施した。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下。大和証の小野木氏は、オペの結果について「全般的に弱め」との見方を示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は1ドル=153円台後半で推移。トランプトレードによるドル買いで一時154円台に下落したものの、日本の通貨当局による為替介入への警戒感もあり、もみ合いが続いた。

みずほ銀行金融市場部グローバル為替トレーディングチームの田中潤平次長は、東京市場では特に材料がない中、トランプトレードに加えて米国経済一強でドル高を見込む向きが多いと述べた。ただ、155円を抜けるとドル売り・円買い介入が意識されることもあり、ドル高がどんどんと進む「スピード感はない」とも指摘した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:長谷川敏郎.

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