(ブルームバーグ):日本銀行が10月30、31日に開いた金融政策決定会合では、米国経済などさまざまな先行き不確実性が指摘され、金融政策は慎重に行う必要があるといった見解も示された。「主な意見」を11日に公表した。
ある政策委員は、「内外における不確実性の高まりに鑑みると、金融政策運営をより慎重に行っていく必要がある」と指摘。「金利のある世界」への移行自体の不確実性を指摘し、「この先の政策金利の引き上げは時間をかけて慎重に行う必要がある」との主張もあった。
一方、米国の利下げ後に日本が利下げに転じた過去の局面とは異なるとし、「米国経済の動向を確認するために一時的に様子見した後、追加的な利上げを展望していく状況と言える」との意見も見られた。ある委員は、米経済の不透明感が低下する中で、「時間的余裕という言葉で情報発信をしていく局面ではなくなりつつある」と指摘した。
会合では政策金利の維持を全員一致で決定。植田和男総裁は記者会見で、それまで繰り返していた政策判断に「時間的な余裕はある」との表現を今後は使わないとし、経済・物価情勢を踏まえて予断を持たずに判断していく姿勢を強調した。市場には年内を含めた早期の追加利上げ観測が浮上しているが、データなどさらなる見極めが必要と言えそうだ。
米経済
米経済動向に関連して、委員の1人は「大統領選挙・議会選挙への思惑もあり、市場が安定に向かっていると評価してよいかは留保が必要である」と指摘。その上で、「もともと緩やかなペースの利上げを想定している中で、大統領選挙後の状況を含め、今後の展開を見ることはできる」と述べた。
利上げ過程にある日本と利下げ局面に入った日米の金融政策が逆方向になっている中で、日銀の追加利上げを契機にショックが生じた場合は「長期的にみた金融政策の正常化に支障が生じる可能性にも留意する必要がある」との意見も出た。
他の「主な意見」
- 経済・物価見通し実現していけば、緩和度合いを調整していく
- 海外経済や市場動向を十分注視、見通し実現確度への影響見極め
- 中期的な金利パス、 自信持って市場に示していくのは難しい
- 国債補完供給の減額措置、ためらうことない利用促すことが重要
(詳細を追加して更新しました)
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