(ブルームバーグ):8日の日本市場は、株式市場で日経平均株価が反発。米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が予想通り利下げを決めたことが好感され、企業決算の発表が本格化する中で好決算銘柄が買われた。ただ、米大統領選挙も含め重要日程を通過したほか、週末とあって朝方の買い一巡後は伸び悩んだ。
米国で大統領選でのトランプ前大統領勝利を受けた金利高・ドル高の「トランプトレード」が一服した流れを引き継ぎ、債券は長期・超長期ゾーンの金利が低下。円相場は1ドル=152円台後半で小高く推移した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7日、0.25ポイントの利下げを決めたFOMC後の会見で「時間をかけてより中立的なスタンスへと移行している」と、利下げを継続する姿勢を示した。米大統領選でトランプ氏が返り咲いたことで、市場では同氏の財政・通商政策がインフレ加速につながるリスクが意識されているが、議長は当面の金融政策決定に「何ら影響しない」と述べた。
株式
株式相場は日経平均が反発した半面、TOPIXは午後に0.3%安まで下げる場面があった。大統領選やFOMCといった米国のイベントを通過し、市場の関心は企業決算に向かっている。米テクノロジー株の上昇を追い風に電機や情報・通信株が堅調。古河電気工業や味の素など好決算銘柄の上げが目立った。
これに対し為替相場の円高傾向が重しとなり、自動車株が安い。7日に通期営業利益予想を下方修正した日産自動車は4年ぶり安値を付けた。TOPIX構成銘柄2128のうち、845銘柄が上昇、1200銘柄が下落した。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフ・マーケット・ストラテジストは、米国の重要イベントを通過した安心感が日本株相場を支える要因としつつ、日本企業の業績は低迷しており、通期予想もやや保守的だと述べた。
債券
債券相場は長期・超長期債が上昇。大統領選後の買い戻しやFOMCの利下げ継続姿勢を受けて、米長期金利が大幅に低下した流れを引き継いだ。
半面、最近の円安進行を受けた日本銀行の追加利上げ観測は根強く、新発10年国債利回りの0.9%台で買いが鈍るなど、相場は伸び悩んだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、相場上昇の背景について、「トランプトレードを巻き戻す形で米金利が低下しており、FOMCもペースは分からないが利下げを継続する姿勢だ」と述べた。
一方、大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、7日の10年債入札は「利回り1%近辺で需要に強弱が分かれた」と指摘。日米とも財政政策の拡大方向が予想される上、円安進行も警戒される中で「12月や来年1月に利上げともなれば、1%を下回る10年債を追いかけて買う動きは出づらく、中期債がさらに水準調整する可能性もある」との見方を示した。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円相場は1ドル=152円台後半に小幅上昇。需給主導の円売りが一巡した後、持ち高調整に伴う円買いが優勢となった。今週は米大統領選でのトランプ前大統領勝利を受けて、一時7月以来となる154円台後半まで円安・ドル高が進んだ。
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は「米国が3連休になるため、新規のポジションは作りづらい」とした上で、トランプ前大統領の勝利を受けたドル高の調整が続きやすいとの見方を示した。
一方、りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、共和党が下院も制する「レッドスイープ」となる可能性が視野に入る中、ドル高圧力の継続が見込まれ、「対円でのドルの押し目を拾いたい参加者は多いだろう」と語った。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:長谷川敏郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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