ドナルド・トランプ氏が米大統領選の「勝利宣言」をする中、円やアジアの債券は引き続き米大統領選の結果から影響を受けると、アナリストらは予想している。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は5日に1%以上上昇した一方で、アジア通貨の指標は0.8%下落。円と韓国ウォンは1%超下落した。 トランプ氏が激戦州で勝利し、共和党が上院で多数派を占めることになったことから、米国債利回りは急上昇した。

トランプ氏の勝利は「アジア市場全体に圧力をかけるだろう。特に中国への影響は大きいだろう」と、オーストラリアのATグローバル・マーケッツのチーフアナリスト、ニック・トワイデール氏は述べた。

以下は、米国の選挙に関連する市場関係者の見方。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ、APAC債券担当最高投資責任者(CIO)、ジェニー・ゼン氏:

トランプ氏の勝利とともに共和党が上下両院を制すれば、米国と相関関係にあるアジアの金利は上昇し、イールドカーブはスティープ化し、リフレ期待と期間プレミアム期待が高まるだろう。議会が二分される場合は、アジアの現地通貨建て債市場の格差がさらに広がる可能性がある。

ロンバード・オディエのスイス担当チーフエコノミスト兼CIO、サミー・チャー氏:

高利回り債と金が好調に推移するとみている。米国株を含むグローバル株式も、企業利益が拡大し、利益率が高水準を維持していることから、今後12カ月で上昇する可能性がある。米市場では、トランプ政権下で金融、テクノロジー、防衛関連が好調に推移するだろう。

カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマースのアジア為替・金利ストラテジスト、マキシミリアン・リン氏:

円のような安全通貨は、米国の利回りや米国株の上昇による「リスクオン」の動きに反応して、引き続き弱含むだろう。一方、人民元のようなリスク通貨は、さらなる関税のリスクにも反応するだろう。

シンガポールのロベコのアジア国債ストラテジスト、フィリップ・マクニコラス氏

為替市場の背景にはドル高がある。そのため、一部の市場では金利引き下げが難しくなる可能性が高く、短期金利は高止まりするだろう。さらに、米国が世界的な問題から撤退を続ける中で、商品やエネルギーの価格やコストに影響が及ぶ可能性を考慮すると、イールドカーブの長期の部分にはより大きなリスクプレミアムが必要になるだろう。

従って、全般的にイールドカーブがスティープ化し、全体的な利回りの水準も高くなる可能性が高い。

サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏:

可能性としてあるのは、共和党が上下両院を制するか、(下院で民主党が多数派となり)トランプ氏が政策を実行できない状態になるかのどちらかだろう。トランプ氏が政策を実行できない状態になれば、減税が難しくなる可能性があるが、関税措置は可決される公算があり、スタグフレーションのリスクにつながる可能性がある。そうなれば、米国株が上昇を維持することは難しくなるだろう。

原題:Trump Trade to Continue Dictating Market Moves, Analysts Say(抜粋)

--取材協力:Matthew Burgess、アリス・フレンチ、Abhishek Vishnoi、船曳三郎、John Cheng、グラス美亜、Iris Ouyang、Giang Nguyen.

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