(ブルームバーグ):衆院選では女性の当選者数が過去最多の73人となった。女性比率は15.7%に上昇したが、主要7カ国(G7)や韓国などと比べても低い水準にとどまっている。
躍進した立民の女性当選者数は30人と最も多く、自民19人、国民民主党が6人で続いた。立候補の段階でも女性314人と過去最多で自民党が55人、立憲民主党が53人を擁立。自民が新たに立候補する女性に100万円を支給するなど各党とも女性比率の引き上げを図ってきた。過去最多は旧民主党が政権を奪取した2009年の54人で11.3%だった。
自民は候補者数で立民を上回ったが、うち6割は比例単独候補。政治資金問題に関わった前職らの重複立候補を認めず、空いた枠を埋めた形で、自民大敗のあおりをうけて落選した候補者が多かった。女性議員の比率を33年までに30%に引き上げる目標を掲げているが、小選挙区での女性候補比率は1割に満たず、女性の政治参加が進まない一因となっている。
早稲田大学の中林美恵子教授は、女性の政治参加率の低さは海外から見て「日本の経済成長に対する懸念材料」だと指摘。少子高齢化と深刻な労働力不足に直面する中、女性議員の増加は政策立案に新たな視点をもたらす可能性があり、自民の候補者擁立に関しても「どんな経緯であれ歓迎すべき」だと述べた。
列国議会同盟が公表している2024年9月の世界各国の下院での女性議員比率の順位表で、日本は10.8%の163位。選挙結果を受けて140位のチュニジア(15.7%)並みに上昇するが、韓国(20%)には及ばない。日本以外のG7は米国が29%で他の5カ国はいずれも30%を超えている。
女性限定の公募
女性議員を増やすにはまず候補者数増が必要だ。衆院選では候補者に占める女性の割合も23.36%と過去最高だったが、政府が掲げる25年までに候補者の女性割合を35%とする目標には届かなかった。
女性議員を増やす取り組みとして自民は昨年4月には東京18区の候補者を女性限定で公募した。女性限定公募は、英国労働党が女性議員増加の手段として1997年に導入したAWS(オール・ウイメンズ・ショートリスト)で実績があるが、党内からは、性別ではなく政策や人柄で選ぶべきだとの反発もあった。
18区は立民の菅直人元首相の地盤であり、後継には元武蔵野市長の松下玲子氏が出馬した。苦戦が予想される中、公認候補となった福田かおる氏は、裏金問題を批判するとともに「国政の新しい風になりたい」と訴えて支持を集め、当選した。松下氏も比例代表で復活当選した。
相模女子大学大学院の白河桃子特任教授は、東京18区の事例を評価した上で、議員の適正な男女比を実現するために女性候補者の比率を定める「クオータ制」導入を検討すべきだと提言。現在の女性議員比率15.7%は、意見や存在を無視できなくなる基準とされる「クリティカルマス」である30%に達していない点が課題だと述べた。
地方レベルでの改善の動きもある。22年の統一地方選では、自民を除く全ての政党で都道府県・政令指定都市の女性議員比率を2桁台に増やしていた。立民は、30年までに候補者、議員、党職員の女性比率を「少なくとも3割」に引き上げるとし、将来的には男女が均等に議席を占める「パリテ」の実現を目指している。
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