マイクロソフトはユーザーに代わって電子メール送信や記録管理などのタスクを自律的に実行する人工知能(AI)ツールであるAIエージェントの提供を開始する。セールスフォースなどのライバル企業との競争が激化する見通しだ。

マイクロソフトは21日、セールスやカスタマーサポート、会計などの分野のタスクを処理する10種類の「自律型エージェント」を提供すると発表した。12月から2025年初頭まで「パブリックプレビュー」として利用可能になる。

同社はまた、企業が独自のAIエージェントを構築できる対話型AIインターフェース「コパイロット・スタジオ」に、エージェントを自律的に動作するようにする機能を近く追加すると明らかにした。11月にプレビュー版をリリースするとした。

マイクロソフトの職場向けAI製品を統括するジャレッド・スパタロウ氏は「エージェントはAI時代のスマートフォンアプリのようなものだ」と指摘する。

「ユーザーが膨大な時間と金を費やしている作業がある。それらは大抵、できればやりたくはないが繰り返しこなさなければならないタスクやプロセスだ。自動化できれば作業効率の大幅向上が期待できる」と語った。

マイクロソフトは2023年初頭から、ユーザーの指示を必要とするAI機能に重点的に取り組んできた。その代表例が「ワード」や「アウトルック」などの製品に導入されている「コパイロット」だ。

次の段階はAIエージェントの構築となる。これは生成AIによる推論と既存のデータベースやソフトウエアを組み合わせることで、人間の介入なしに定型的なタスクを実行できるツールだ。サービスナウやワークデイ、 ハブスポット、SAPなどのソフトウエア企業が現在AIエージェントに積極的に取り組んでいる。

CRM(顧客管理)ソフトウエア最大手のセールスフォースは先月開催した年次イベント「ドリームフォース」でAIエージェントを披露。同社のAIエージェント「Agentforce」は顧客サービスなどのタスクを自律的に処理可能だとした。 月内に一般に公開され、初期価格はAIエージェントの対話1回につき約2ドル(約300円)に設定する予定だという。

マイクロソフトは業務用アプリ「ダイナミクス365」に付加されるAIエージェントの価格を発表していない。「コパイロット・スタジオ」は、企業顧客向けにユーザー1人当たり月額30ドルで販売している「マイクロソフト365コパイロット」に含まれている。

原題:Microsoft Launches AI Agents, Deepening Rivalry With Salesforce(抜粋)

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