アルファベットから2022年にスピンオフ(分離・独立)した人工知能(AI)・量子暗号技術ソリューションのスタートアップ、サンドボックスAQは評価額50億ドル(約7470億円)強で新たな資金調達を目指している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

これら関係者によると、サンドボックスAQは潜在的な投資家と協議中。話し合いが非公開だとして匿名で明らかにした。50億ドル超の評価額は、投資直前の企業価値の推定である「プレマネー」のバリュエーションで、調達予定額は含まれていない。取引の条件は未定。

サンドボックスAQの広報担当者はコメントを控えた。

サンドボックスAQのウェブサイトによると、ジャック・ヒダリー最高経営責任者(CEO)が率いる同社の出資者にはエリック・シュミット元グーグルCEOやマーク・ベニオフ氏、ジム・ブレイヤー氏、トーマス・タル氏率いるUSイノベーティブ・テクノロジー・ファンド、Tロウ・プライス、グッゲンハイム・パートナーズ・インベストメント・マネジメント、アリアンツが名を連ねる。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、サンドボックスAQの会長を務めるシュミット氏の純資産は324億ドル。

サンドボックスAQの技術はAIと量子物理学を融合させたもので、同社には3つの事業部門がある。

最大の事業部門はAIと量子アルゴリズムに基づくシミュレーションソフトウエアを提供している。このソフトは創薬の迅速化や、バッテリーなどを改善する新たな化学物質の開発を可能にする。また同社はエヌビディアと提携することで、顧客が高性能AIチップ上でシミュレーションソフトを実行しやすくしている。

サンドボックスAQは企業のハッキング対策を支援するセキュリティーソフトも開発している。米商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)が今年8月に公表した暗号化基準に大企業が移行するのを同社のソフトは支援できる。

同社の第3の部門は地球の磁場を検知する量子センサーの信号を解読するAIソフトウエアを提供する。このAIソフトはリアルタイムで磁気図上の位置を特定でき、妨害される恐れがあるGPS衛星を使用せずに航空機は航行可能になる。同社はこの新しいアプローチに関して米空軍と共同で取り組んできた。

原題:AI Startup SandboxAQ Seeks Funding at Over $5 Billion Valuation(抜粋)

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