好調な日本の製造業がアメリカへの「外交カード」に…円安が進むリスクは?

他方で、むしろ政治の膠着は企業業績などファンダメンタルズ(経済の基調)によって金融市場が動く本来の健全な状況をもたらすので、投資家にとっては「意外に好感される部分でもある」。

それでは、大統領選は日本経済にどのような影響を与えそうでしょうか。外交面では米中関係が日本にどう作用するかに一番注目が集まる、と末廣さん。

また、トランプ氏が再選されれば雇用創出を重視するとみられるため、日本企業がアメリカに工場を作り、雇用を増やすことが日本側の外交カードになり得る、と指摘します。

「円安で製造業の利益が上がっているので、そうした元気な産業はアメリカとうまくつながるような動きが出てくるのでは」

これ以上円安が進むかどうかについては「誰が大統領になっても、日本経済にとってそれほど心配することはなさそう」と楽観視します。アメリカの中央銀行にあたるFRBが利下げ局面に入ったため、アメリカの金利が上がり、それにともないドル高・円安になるリスクはそこまで高くない、という見立てです。

とはいえ、米大統領選では投票直前の10月に結果に大きく影響する「オクトーバー・サプライズ」がたびたび起こるジンクスがあります。常に最新の状況を注視する必要がありそうです。

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<取材協力>
大和証券エクイティ調査部チーフエコノミスト 末廣徹[すえひろ・とおる]
TBS NEWS DIGオリジナルコンテンツ「The Priority」より