米連邦準備制度が今月、大幅利下げに踏み切った場合、米国株が円を資金源とするキャリートレードのさらなる巻き戻しリスクにさらされる可能性がある。モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏はこうみている。

同氏はリポートで、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を超える米利下げは円をサポートする公算が大きいと指摘した。そうなれば、日本の金利上昇を踏まえ日本の為替トレーダーが米国の資産から手を引くインセンティブが高まり、世界市場を先月動揺させたパターンが繰り返されることもあり得る。

ウィルソン氏は「引き続き円キャリートレードの巻き戻しが、水面下のリスク要因かもしれない。米国の短期金利が急速に低下すれば、円高がさらに進み、米国のリスク資産に不利な反応を引き起こす恐れがある」とコメントした。同氏は5月まではウォール街で最も米国株に対し弱気な見方をしていた一人だった。

 

夏の米国株下落を的確に予測したウィルソン氏は、債券市場はすでに米連邦準備制度が政策緩和を長く続け過ぎたことを反映していると分析。

「債券市場が米連邦準備制度がもはや後れを取っていないと考え始めるか、成長データが反転して大きく改善するか、追加的な政策刺激策が導入される」までは株価は上昇しないとの予想を示した。

同氏によれば、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けボラティリティーが高止まりする見通し。

原題:Morgan Stanley’s Wilson Says Yen Carry Risk Lingers for Stocks(抜粋)

--取材協力:Michael Msika.

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