(ブルームバーグ):米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は5日、同国労働市場が軟化しつつあるとし、金融当局として今後数四半期に利下げを開始すべきだとの認識を示唆した。ただ、労働市場が深刻に弱くなり始めたかどうか判断を示すには至らなかった。
デーリー総裁はハワイ・エグゼクティブ・コラボレイティブ共催のイベントで、「今後数四半期に政策調整が必要になるだろう」と指摘。「当局は現在、労働市場が減速しつつあることを確認した。過度に減速させて景気下降につながらないようにするのが極めて重要だ」と語った。
その上で、米金融当局がいつ、どの程度利下げする必要があるかは「今後発表されるデータ次第だ」とコメントした。

総裁は米労働市場には引き続き強さが見られると強調。企業は新規採用ペースを減速させたが、その大多数は雇用を削減していないと話した。
「労働市場はそこそこ堅調だ」とし、「雇用統計の覆いの下には、減速してはいるものの崖を転落していないとの多少の信頼の余地がある」との見解を示した。
2日に発表された7月の米雇用統計は予想よりも悪い数字となり、リセッション(景気後退)懸念が浮上して世界的な株価急落をもたらした。
デーリー総裁の発言内容は、単月分の雇用統計について深読みすべきではないとする他の金融当局者の指摘に沿った形だ。
総裁はまた、雇用統計を受けて住宅ローン金利が低下した点について、金融当局のコミュニケーションが効果的に作用し、政策が機能している証拠だと論じた。
具体的には、物価安定と最大限の雇用の実現の二つの責務に関連して、「現時点で、市場はいずれかの方向に過度に動くかもしれないが、重要な点として、二つの目標をいかに均衡させるかの反応関数は非常に明確であり、金利は既に調整しつつある」と語った。
米金融当局は7月30、31両日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)会合で主要政策金利を二十数年ぶりの高水準に据え置くことを決めた一方、利下げに近づいていることを示唆。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は会合後の記者会見で、9月にも利下げが適切になる可能性があると話した。
シティグループやJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴなどの各金融機関のエコノミストは、9月と11月のFOMC会合でそれぞれ0.5ポイントずつの利下げが行われる可能性があると予想している。
原題:Fed’s Daly Says Job Market Slowing, Can’t Let It Slow Too Much(抜粋)
(デーリー総裁の発言内容を追加して更新します)
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