8月第1週(5-9日)の債券市場は、日本銀行の連続利上げに対する警戒から長期金利の低下余地が限定される中、毎月勤労統計で明確な賃金上昇が確認されれば早期の利上げ織り込みが進み、長期金利に上昇圧力がかかる可能性がある。

市場参加者の見方

◎全国信用協同組合連合会(全信組連)の山下周チーフエコノミスト

・日銀の国債買い入れ減額計画の発表と追加利上げを受けて、材料出尽くしで待機していた向きが買った上、米国金利の低下もあって国内の長期金利は低下した。ただ、中短期金利が日銀の利上げを織り込んで上昇傾向にあり、長期金利の低下余地は大きくないだろう
・米景気の減速懸念がある中で日銀は利上げできるのかという懐疑論もあるが、政策金利はまだ0.25%、インフレ率を勘案した実質金利はまだ2%のマイナス。米国が深刻な景気後退に陥らない限り日銀は利上げを続けるだろう
・6月の毎月勤労統計で賃金上昇率が3%に近づいていけば、利上げの確度が高まり、長期金利に上昇圧力が加わるだろう
・新発10年国債利回りの予想レンジは0.94-1.05%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト

・日銀は今後も金融政策の正常化を進める見通しで、将来的な利上げ観測が国債利回りの低下を抑えるだろう
・年内の追加利上げ観測が続いており、10年国債利回りが1%を下回る水準では投資家の積極的な買いは期待できない
・30年国債の主要な買い手である生命保険会社は慎重な姿勢を維持、新発国債入札は相場の上値を抑える要因になりそうだ
・先行きの不透明感から金融市場は不安定な動きを強めており、国内債券相場の目先の下値不安は小さい
・新発10年国債利回りの予想レンジは0.94-1.03%

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