あおぞら銀行は米国商業用不動産市況の先行きについて、慎重な見方を示している。加藤尚最高財務責任者(CFO)が2日の決算会見で述べた。

加藤CFOは、先行きについて「予断を許さない」と発言。米供給管理協会(ISM)が1日に発表した7月の製造業景気指数の落ち込みと株式市場の下落などから、景気減速懸念が出てきたと指摘した。不動産市場も需要の変化を一定程度考慮する必要があるとした。

あおぞら銀は前期(24年3月期)に米国オフィス向け不動産融資で、損失発生に備える引当金を計上したことなどから純損益が499億円の赤字となっていた。米商業用不動産の市況悪化が日本に飛び火した例として注目された。

同行の6月末時点の米国を中心とした海外不動産ノンリコースローンの残高は24億4300万ドル(約3600億円)と、1年前から12%減少した。海外不動産ノンリコースローンは新規与信を停止し、回収する方針だ。

米オフィス向けローンを巡っては、悪いニュースが相次いでいる。ブルームバーグは2日、ドイツ銀行が金利上昇によって不動産ポートフォリオの利益が打撃を受ける中、最大10億ドル(約1490億円)相当の米商業用不動産ローン債権の売却を図っていると報じた。

同日発表した連結決算によると、2024年4-6月期(第1四半期)の純利益が前年同期比12%増の76億円だった。ブルームバーグがまとめたアナリスト2人の予想平均45億円を上回った。今期(25年3月期)計画に対する進捗(しんちょく)率は42%となった。

収益基盤強化のため、あおぞら銀行は5月、大和証券グループ本社との資本提携を公表。大和証Gはあおぞら銀株の24%を保有する筆頭株主となる。同社との連携について、あおぞら銀の加藤CFOは今年度中に連携効果が「数字に大きく出てくるのは難しい」としつつ、3年程度の中期的目線での効果に期待を示した。大和証Gの吉田光太郎最高財務責任者(CFO)は1日、あおぞら銀の不動産ローンなどを大和証Gで提供することなどを検討していると述べた。

(CFOの発言を追加するなど全体に更新します)

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