1日の東京株式相場は急落し、東証株価指数(TOPIX)は一時2020年4月以来の日中下落率となった。外国為替市場で円がドルに対して一時148円台に急伸し、自動車を中心とする輸出関連株に円高を嫌気した売りが広がった。日本銀行の追加利上げを受け、金利上昇が業績に悪影響を及ぼすとの懸念から不動産株も急落している。

東証の不動産業指数は一時8.1%下落。自動車メーカーを含む輸送用機器指数は6.4%下げる場面がある。円安を背景に訪日客の消費が好調だった百貨店株も軒並み大幅安となっている。

不動産株が大幅安、日銀総裁のタカ派姿勢嫌気-業績への影響懸念

円相場はドルに対して3月以来の高値を更新した。前日7月31日に日銀が追加利上げを決めた一方、米国ではパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が9月にも利下げを始める可能性を示唆した。

りそなアセットマネジメントの下出衛チーフストラテジストは、円高を嫌気した売りに加えて、日銀の金融政策を巡る不確実性が日本株の売りにつながっていると指摘。さらなる利上げのタイミングや、何をベースに利上げをするのか「マーケットと中央銀行の判断共通項がない」と述べ、海外投資家による買い控えを招くとの見方を示した。

 

日銀が政策金利を従来の0-0.1%程度から0.25%程度に引き上げたのを受け、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJ銀行は住宅ローンの変動金利などの指標となる短期プライムレートを引き上げると発表した。

日銀の植田和男総裁は前日の取引終了後の記者会見で、今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませた。

松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「昨日の会見での日銀総裁はこれまでとは別人のようにタカ派だった」とし、「中期的な金利を巡る景色が変わった」と指摘した。

背景

  • 植田日銀総裁が利上げに前傾姿勢、タカ派発信で年内追加観測も浮上
  • パウエル議長、利下げは「9月のFOMC」で選択肢になる可能性も
  • 日本とオランダ、米国の新たな対中半導体制限から除外-関係者 
  • ドル・円相場は1ドル=149円台後半で推移、前日の日本株終値時点は152円86銭

--取材協力:長谷川敏郎.

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