(ブルームバーグ): 12日の東京外国為替市場の円相場は乱高下。米国市場で急騰後、東京市場に入って159円台に売り直されていたが、一時157円台後半まで再び急伸した。政府・日本銀行の円買い介入観測が高まっている上、日銀が対ユーロで為替介入の準備のために市場参加者に相場水準を尋ねる「レートチェック」を行ったため、不安定な値動きが続いている。
神田真人財務官は12日、為替介入があったかはコメントしないとした上で、過度の変動や無秩序な動きには適切に対応すると述べた。鈴木俊一財務相も同日の閣議後会見で、介入観測について「その有無も含めてコメントは控えるというのが基本的な立場だ」と語った。
過度の変動や無秩序な動きに適切対応、介入の有無言及せず-神田財務官
為替介入の有無「コメント控える」、一方的な動きを懸念-鈴木財務相
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、東京市場に入ってからも円買い介入が複数回実施されている可能性があり、「根強い円売り需要に対して当局は本気の対応で、値動きの荒い展開が続く」との見方を示した。対ユーロでのレートチェックについては「クロス円の円売りに対するけん制だろう」と述べた。
日銀が対ユーロでレートチェック、午前8時半前後-複数の関係者
上田氏によると、12日の東京市場は3連休を控え実需のドル買い・円売りが入りやすい環境で、「輸入企業にドルの買い場を与えた形だ」と言う。
11日の米国市場では、予想を下回る消費者物価指数(CPI)の発表後に円が急速に上昇し、市場ではドル安のタイミングに合わせた日本当局の円買い介入との見方が出ている。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、円の値幅の大きさから考えて介入だった可能性が高いと指摘。「クロス円でかなり円が売られていたので、介入でポジションの巻き戻しを促した面はあるだろう」と話した。
米商品先物取引委員会(CFTC)が公表したIMM通貨先物で、非商業部門の円ポジションは2日時点は18万4223枚のネットショートと、投機筋による円の売り越しが2007年以来の水準まで積み上がっていた。

今回の介入観測について、市場では5月2日早朝(米国時間1日夕)の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の介入観測との類似性を指摘する声がある。当時もハト派的なFOMCを受け、ドル売りが強まるタイミングで行われた可能性があるためだ。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは11日の介入観測について、直近の円相場はじり安にとどまっていたほか、米CPI下振れ後のドル安にかぶせる形となり、さらに口先介入の頻度が低下していたため、「サプライズ性の高い介入」との見方を示している。
--取材協力:梅川崇.
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