住友生命保険の増田光男運用企画部長は、30年債利回りは2024年度内に最大2.5%まで上昇することもあり得るとして、現在はまだ集中的に投資する金利水準には達していないとの見方を示した。

  増田氏は2日のインタビューで、主な投資対象である30年債利回りの年度内の上限を2.4%と予想。「最大2.5%ぐらいまではあり得る」として、4月の運用方針説明会で示していた2.2%から上方修正した。

  30年債利回りは6月27日に一時2.29%と11年以来の高水準となった。日本銀行の7月の金融政策決定会合を控え、国債買い入れ減額の規模や利上げの有無を巡る不透明感が強く、国内金利に上昇圧力がかかっている。有力な買い手と期待される生命保険会社も金利先高観から様子見姿勢を続けており、金利のピーク感は出ていない。

  

  増田氏は、日銀の利上げ時期は9月ないし10月とみているが、国債買い入れ減額計画の公表と合わせて「7月に利上げする可能性も全くないとは言い切れない」と語る。日銀は来年の春闘などを見ながら今後の利上げを模索していくと予想しており、「中長期的に利上げが継続して行われるとの見方が市場に浸透していけば、金利上昇圧力が強まる可能性がある」と話した。

  30年債利回りについても「ここで上げ止まるというよりは、むしろさらに上昇する可能性がある」として、現時点では「集中的に超長期債の買い入れを行う水準ではないと判断している」と述べた。

  3日の債券市場で超長期債は続落(金利は上昇)している。野村証券の松沢中チーフストラテジストはリポートで「来週の債券市場参加者会合や、さらには月末の日銀会合に向けて、生保など主要投資家は様子見姿勢を強めている」と指摘する。

外債からシフトも

  住友生命の増田氏は円相場についても、4月時点の1ドル=160円までの下落予想を165円と円安方向に見直した。米国の利下げが始まるまでドル高・円安圧力は弱まりにくいと指摘。為替介入があればスピードは緩やかになるものの、円安圧力は年後半から年明けぐらいまでくすぶり続けるとみて、外債投資は引き続き「慎重なスタンスで臨んでいる」とした。

  日銀が7月会合で明らかにする国債買い入れ減額の具体案については、日銀は長期金利の水準は市場に委ねるというスタンスのため、超長期債ゾーンもある程度、減らしていく方向だとみている。

  買い手不足もあり超長期金利の上昇が続いていることから、財務省が年度内にも超長期債の発行減額に踏み切るのではないかとの期待が市場の一部で浮上している。

国債発行の年限短期化へ、日銀減額方針で財務省検討-提言案

  増田氏は、25年度の新資本規制に対応するための保有資産のデュレーション(年限)長期化にめどが立ったため、生保各社はもう超長期債を買わないのではないかという議論もあるとした上で、「金利が上がり、リスクリターン面で投資妙味があれば、例えばヘッジ付き外貨建て資産からシフトすることも十分あり得る」と言明。発行額は維持することが望ましいとの考えを示した。

(6段落に市況とコメントを追加し、記事を更新しました)

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