中国では人権派弁護士らに対する抑圧が続いていますが、その子どもたちに対しても通学を妨害するなど、圧力が強まっていることがわかりました。

家を出た子どもの後を男たちがついていきます。子どもは元人権派弁護士・王全璋さんの長男、泉泉くん(11)です。

冤罪事件や宗教弾圧など、人権侵害の問題を扱ってきた王さん。

2015年、当局に身柄を拘束され、懲役4年半の実刑判決を受けました。その際、弁護士資格は剥奪されてしまいましたが、2020年に出所した後も、政府に対し申し立てを行う市民たちに法律面からのアドバイスを続けています。

しかし、去年4月以降、嫌がらせが増加。自宅に面識のない男らが押しかける場面もありました。

王全璋さんの妻 李文足さん
「なにをするの?この3人が夫を殴りました」

その矛先は11歳の息子にまで向けられているのです。

2月上旬、私たちが王さんのマンションを訪ねると…

「お前らどこの記者だ?」

大勢の男たちと警察が私たちを取り囲みました。

いま王さんが一番心配しているのは子どもの教育です。

元人権派弁護士 王全璋さん
「良い解決策が分かりません。彼らは子どもが学校に行くのを妨害しはじめ、学校には『息子を受け入れるな』と通告し始めました」

当局が圧力をかけ、学校が泉泉くんの受け入れを拒否するようになったのです。

なんとしても、子どもには教育を受けさせたい。王さんはある決断を下します。

元人権派弁護士 王全璋さん
「こんな状況なので、この地を離れさせてもっと自由な環境におかせてあげたいと思いました」

友人に頼んで、泉泉くんを海外に行かせようとしたのです。

しかし、泉泉くんは入国管理局から“国家の安全を脅かす可能性がある”として出国を阻まれてしまいました。

元人権派弁護士 王全璋さん
「子どもは精神的に大きく傷ついています。子どもたちが国家の安全を脅かす可能性があるなんてあまりにばかげていませんか?」

海外で勉強する道を断たれた泉泉くん。学校にも通えず、ほぼ独学で勉強を続けています。

元人権派弁護士 王全璋さん
「国内の教育を受けられないので大学入試を受けるのも難しく、大きな問題です。これを私たちが解決できなければ、子どもの将来に大きく響くでしょう」

中国では人権活動家の子どもを取り巻く状況も厳しさを増しています。