「必要に迫られた結果」被災し変わる酒造り

澄川さん
「日本酒の発酵は約30日間かかるので、発酵中の分析を9種類ぐらい毎日分析をしていますね」

新しい蔵に、分析の自動化。被災を乗り越え、復活への道のりを順調に歩んできたように見えます。しかし、澄川さん自身には別の思いもあります。積極的な設備投資は「必要に迫られた結果」でした。

澄川さん
「水害で被災をしたという傷口がかなりのマイナスからのスタートで、それを取り戻すためには同じ製造数量、同じ売り上げで取り戻せるかというとそうではなく、すぐ立ち行かなくなるのは目に見えていました。失ったものが大きすぎるので
「やる」と。やめるつもりはなかったですけど、やると決めた以上は大きくなり続けざるを得ない。水害のマイナス部分を取り戻すためには少しずつ大きくなり続けざるを得ない。大きくなるイコール、製造数量に対応しうる設備が必要になってきますので、傷口をさらに大きくするところからのスタートでしたね」

傷口をあえて広げるところから始めたことで、酒の質=酒質と品質が向上したと自負しています。結果的にその判断は、功を奏したように見えます。