周囲の期待胸に、酒造りに打ち込む
翌朝7時。周南市の酒蔵「山縣本店」に祐希さんの姿があった。酒造りの最初の工程、洗米だ。時間を管理しながら先輩たちに追いつくために必死で動く。
宮﨑祐希さん
「洗米は3分刻みでする作業なので、モタモタしていると次が来ちゃうので、次々っていう意識をしてやるのは大変だったんですけど、何とか初日の一番最初の作業を無事に何事もなく終えることができたので良かったなと心の中で思ってます」
そんな祐希のことを杜氏の小笠原さんは。

山縣本店杜氏・小笠原光宏さん
「お酒に興味を持ってもらうことは本当に嬉しいことなので。全体の流れを知るためには、住み込んで朝から仕事してもらうのが良いのかなと。本人もそれがしたいということなので、お受けしました」
2カ月の一人暮らし、気持ち新たに

修行と共にもう一つの挑戦、一人暮らしだ。蔵の2階に2か月住み込む。
宮﨑祐希さん
「思ったよりも広いし、何なら自分の部屋より広いので不自由はないかなと」
荷物を整理もほどほどに、気持ちも新たに修行への決意を語る。
宮﨑祐希さん
「これから覚えることも、いっぱいあると思うので、しっかり覚えていって仕事ができるようにしたいなと思います。」
酒造りで重要な「清掃」

酒造りの工程で多くの時間を占めるのが、清掃。日本酒を作る上で欠かすことのできない作業で、1日の仕事の中で半分以上を占めることもある工程だ。使った道具は、臭いが日本酒に移ることがないよう、洗剤は使用せず熱湯を使い丁寧に洗浄する。先輩たちからの助言を受けながら、ひとつひとつ丁寧な作業を心がけている。
宮﨑祐希さん
「やっぱり、掃除は本当にお酒を作るのに大切だなと。技術もそうですけど、掃除とかそう言う基礎の部分というのも、しっかり覚えたいなと思いました」
修行も終わりに…成長した姿
3月24日。修行も終わりに近づいたこの日。蔵では慣れた手つきで蒸された米を広げる祐希の姿があった。素早い動きが必要とされる工程も任せてもらえるようになっていた。
宮﨑祐希さん
「だいぶ一通りやらせてもらって、最近は怒られたこともなく、結構スムーズに仕事ができるようになりました。聞きたいことがあれば今のうちに来ておこうかなと」
2か月の一人暮らしをすることで料理の腕も成長したようだ。先輩と食べる昼食もあとわずか。かけがえのない時間が流れる。