会社にしないとやっていけない!

瀧本家は代々の兼業農家でした。2003年、父の瀧本敏さんが42歳で脱サラし、専業農家になったころから農作業の委託が増えていきます。

専業になって3年後の2006年、妻のみどりさん(当時45歳)とデザインの専門学校を卒業した “ギャル真っ盛り” 次女の瑞穂さん(当時20歳)がはからずも農業の世界に…。

瑞穂さんの父 瀧本敏さん(63)
ギャル時代の瑞穂さん

飯野地区では周辺の専業農家が後継者問題や高齢化などを理由に次々と米作りをやめ、瀧本さんに農地を貸出し、作業を委託していきました。

増え続ける耕作地・・・。2010年にはついに法人化を決意。瀧本さんは将来を見据え、若い世代に早い段階で農業の誇りと責任を持ってもらおうと、瑞穂さんを社長とする株式会社にすることを決断します。

周辺の農家からの委託が続き、現在は耕作面積は約120ヘクタール。飯野地区の農地の18パーセントを占める大規模な事業展開となっています。

代表取締役 海道瑞穂さん:「就農時は主穀作(米や麦)と、特産の“入善ジャンボ西瓜”の生産農家として何とかやっていけるかな、とは思っていたんですけど、周辺の稲作の兼業農家さんがどんどんやめていって・・・。耕作地がみるみる増えていって、気付いたら会社にしないとやっていけなくなっちゃって…」

入善ジャンボ西瓜のタグ 生産者として顔写真をつけていた

デザインの専門学校で学んだ知識を活かし、“おしゃれにデザイン”された自社パンフレットも制作。瑞穂さんのネイルは “けさ飼い猫にくじられた” そうですが…、記者にはわかりませんでした。

 自社パンフレット デザインは瑞穂さんが担当

兼業農家で農作業の大変さは、小さい時から知っていたという瑞穂さん。農業が嫌いで「将来は田んぼなんかせんわ!」と思っていたそうですが、今は農業以外の仕事は想像できないと話します。

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敷地内のネイルサロンは“農業女子”の仲間と情報交換の場にも…

代表取締役 海道瑞穂さん:「(農業やってて)よかったと思います。本当はデザインの仕事がしたかったけど、逆に農業やったからこそ、このパンフレットなんかも『自分でデザインして、すごいね』って言われるじゃないですか、勉強したことが活かされているわけで…」

24歳で社長となってからは “地主さんはお客様”の理念で除草の徹底と日々の交流を大切にしながら“農業をもっとおしゃれに”を目指して取り組んでいます。

アグリたきもと代表 海道瑞穂さん:「地域の田んぼを借りている以上、基本の農作業はきちんとやって、そのうえで “遊びの要素” を出していきたいし、少しづつでも農業のイメージを変えていきたいです。これからも地域の人たちに感謝しながら続けていきたいと思っています」

法人化の13年前に整備した乾燥調製施設では手狭になり、近く新規の格納庫整備を検討しているという「アグリたきもと」。耕作放棄田を増やさないためにも日々、仲間の農業法人などと情報交流しながら、地域を守る農業集積を実現していく方針です。