国内最高峰のハンドボールリーグ「リーグH」が佳境を迎える中、ある一人のプレーヤーが静かにユニフォームを脱ぐ決断をした。富山県氷見市が拠点の富山ドリームスに所属する背番号46・庄司清志選手(30)。約20年に渡る競技生活の最後に富山を選んだのは、中学時代に日本一に輝いた経験と地元・大阪でのある出会いがあった。
(全5話・第2話/取材:島津有希)

「ブリのように大きくなってまた帰ってきた感じもありますね」
毎年氷見市で開催される「春の全国中学生ハンドボール選手権大会」、通称「春中ハンド」。日本中の中学生ハンドボール選手が憧れる舞台だ。庄司選手は中学2年生のとき、第5回大会(2010年)に大阪代表として出場し、見事優勝を果たした。

「各県の代表チームに氷見市内のそれぞれの街で応援団として割り振られていてとても賑やかだった。地元のおじいちゃんやおばあちゃんが応援してくれたり、何か手伝ってくれたりと。そのときは『この人たちはなんなんやろ』って思ってたんですけど、今改めて来てみると地元の人たちが手伝ってくれてたんだなって」

大会の思い出はそれだけではない。泊まっていた氷見市の温泉旅館「うみあかり」では、優勝後に船盛を出してもらったこと。大きな部屋でチームメイト全員と雑魚寝しながら、試合の結果や内容についてなど語り合ったこと。その体験が、少年の心に深く刻まれた。

「そのときに一緒の大きい部屋で語り合ったっていうのが、ぼくの中で大きい経験になったのかなと思って。あの時の中学生が、出世魚のブリのように大きくなって、また氷見に帰ってきた。そんな感覚があるんです」










