45分かけて3cm

幼稚園帰り、あさひくんは母・のぞみさんと一緒に美容室に向かいます。

母・のぞみさん
「美容室は怖くて行きたがりません。慣れない場所に行くのも、すごく不安があるので。だからこうやって障害の特性を理解して、受け入れてくれるところがあるのは本当にありがたいなと思ってます」

あさひくんが「スマイルカット」を行うのは今回で10回目。

当初はお店に入ることもできませんでしたが、今ではお母さんと離れて、お店で過ごせるようになりました。

美容師 小林沙季さん
「あさひくん、前は廊下に走って行ったり、玄関から出ようとしたりしていたんですが、今ではカットの部屋から出ずに、45分間過ごせるようになりました。それだけでも大きな成長だと思います。今までは触れられなかった髪の毛にも、
触らせてくれるようになりました」

スマイルカットではカードなどで手順を示し、次に何をするのかを伝えます。

見通しを持つことで不安を和らげる、療育の現場でも取り入れられている方法です。

美容師 小林沙季さん
「言葉だけじゃ伝わらないときは視覚的に見て。実際にバリカンやハサミを見せて、理解してくれる子もいます」

あさひくんの場合は、好きな動画を見たり、ドーナツを食べたりしながら、少しずつカットに挑戦します。

「できた」という実感を重ね次の一歩につなげていきます。

45分をかけて3センチ髪を切ることができました。

小林さん「これだれの毛?」
あさひくん「髪の毛」
小林さん「切れたね。上手。イエイ!」

のぞみさんが迎えに来ました。

母・のぞみさん
「毎回少しずつ進んでいっている気はするので、この調子で地道に通い続けて、
いつかは鏡の前で切れるようになったらいいです」
美容師 小林沙季さん
「ここに来て1個でもできることがあるとお母さんとお子さんが自信にもなるのかなと思います」

美容室は怖い場所ではない。

小林さんはこれからも親子に寄り添いながら、いつかあさひくんが、笑顔で髪を切れる日を目指しています。