富山市の中学3年の女子生徒が自殺した問題で、21日の保護者説明会で学校側は、自殺の原因を「いじめではなく人間関係のトラブル」と述べ、詳細な説明を避けました。一方、詳しい説明を求める保護者からは学校側の態度に批判が相次いでいます。
11月19日に3年生の女子生徒が自殺した富山市立北部中学校。21日夜、保護者説明会が開かれました。
保護者(音声加工):
「いじめがあったということで謝罪されたというのは事実ではないということですか」
学校側:
「学校としましては本件を人間関係のトラブルと捉えて対応に当たっておりました」
保護者からは「なぜいじめではないと言いきれるのか」と質問があったほか、具体的な説明がないことに批判が相次ぎました。
保護者(音声加工):
「トラブルって、命を落とすほどのトラブルってどんなトラブルなんですか」
保護者(音声加工):
「(自殺した)生徒の親に対して何か連絡をして、こんなこと起きてますよと。あなたのお子さんこんなことしてますよと連絡はされたんでしょうか」
学校側:
「お話しできる内容とできない内容がございます。先ほど校長の方からお話しさせていただいたことは今お話できる全てのことになるという風にご理解いただければと思うんですが」
「生徒のスマホを調べたのか」という質問に対しては・・・。
学校側:
「生徒のスマホの中にどのようなものが残されていたか、学校では把握しておりません」
学校側は説明会をこの日だけで終わらせず、追加で開催する可能性もあるとしました。
学校側:
「この後、また調査したりわかったりことがあって皆さんにご報告しなければいけないと判断した場合には、ご足労願うかもしれませんが、こういった臨時の説明会はありうるかもしれません」
保護者(音声加工):
「調査というのはどういう」
学校側:
「学校としては、まだまだこれから市教委と相談したり、いろいろと調査していかなければいけないことがあると考えているということです」
2時間にわたって開かれた保護者説明会。終了後、校長が取材に応じました。
富山市立北部中学校 桑嶌一彦 校長:
「(記者:最初保護者から訴えがあって調査を始めたというが、それはいつ頃でどういった機会だったのか?)これも個人情報ですのでお話しすることはできません」
人間関係のトラブルが原因とする点については…。
富山市立北部中学校 桑嶌一彦 校長:
「いじめについては、相手が嫌な思いをすれば、それはいじめであると認識しています。で、人間関係のトラブルというのは、子どもたちの言い合いであるとか、本当にちょっとした言葉のやりとりであったり、そういったものもトラブルに起こりうると思います。一方的であるか、または、お互い様かというようなところは僕は大きいと思っております。それから学校でのいろいろな調査等で、その時期に彼女がいじめを訴える内容がアンケート等にはなかったので、そういった判断をいたしました」
メンタルヘルスが専門で若者の自殺対策にも取り組む富山大学の立瀬剛志助教は、アンケートでいじめを訴える難しさを指摘します。
富山大学 立瀬剛志 助教:
「いじめっていうのはアンケート取っていじめをしましたか、しませんでしたかって言ってあまり表に出るものではないような気がしていて、やはり教育現場とか学校の現場でいじめがあったかどうかっていうのは、その現場単位で判断することなのかなと正直思いますけども。やっぱり集団で自分だけ疎外されてると思ったら孤立しますし、言ったところで届かないと思ってしまうと、それはもう訴える気にもならない」
そのうえで、いじめの有無だけでなく自殺の原因にも目を向けてほしいと話します。
富山大学 立瀬剛志 助教:
「いじめがあったほどのつらい思いをして、引きこもってしまってそれで自殺にいたるっていう背景があるわけですよね。どうしてこの子が自殺しなきゃいけなかったのかってことそのものを分析してほしいっていうのがあって、学校側の態度として(いじめが)あったかなかったか、事実確認ばかりに意識がいって、その生徒が亡くなっている。自死しているという事実に対して、(今回のケースは)氷山の一角だと思うのでどう防いでいけるかってことをもっと考えていってほしい」
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