北陸電力は今年度の連結経常利益について過去最大の1000億円の赤字見込みであると発表しました。背景には資源価格の高騰や円安の加速があり、企業努力では対処できないとして来年度から電気料金を値上げする方針です。

北陸電力 松田光司 社長:
「年度の見通しもこれまでにない収支状況が見込まれることに対し、大変重く受け止めております。多くの関係者の皆様、株主の皆様に大変心苦しく思うとともにお詫び申し上げたいと思います」

北陸電力本店で行われた記者会見。今年度の連結経常利益がおよそ1000億円の赤字の見込みであると発表されました。1970年代のオイルショックや東日本大震災後の収支悪化をはるかに上回る過去最大の赤字です。

要因の一つは、ロシアのウクライナ侵攻よる資源価格の急騰です。資源の主力となる石炭の価格はここ1年半の間でおよそ4倍にまで膨れ上がっています。

それに加えて急速に円安が加速していることなどから電力調達コストが大幅に増加しているのです。

また、企業の「財務的な安全性」の指標と言われる自己資本比率は、前の年度に比べて7ポイントも低下し今年度は13パーセントとなる見通しで、資金調達にも影響を及ぼしかねない状況です。

北陸電力 松田光司 社長:
「こうした未曾有の事態に対処するためにこれまで緊急経営対策本部を設置し、あらゆるコストについてゼロベースで見直しを行ってまいりましたが、これら企業努力で対処可能な範囲を大幅に超えております」

これらの事態を受けて北陸電力は、規制料金の改定について経済産業大臣に認可申請の手続きを行い、来年度から自由料金も含めてすべての電気料金を値上げする方針で、詳細については今後決めたいとしています。

また、松田社長はこうした状況を踏まえ、原子力を推進する必要があるとの認識を示しました。

北陸電力 松田光司 社長:
「純国産エネルギーにカウントされるほどの供給力の安全性を持っていますし経済性にも優れている。さらにはCO2も排出しない。原子力を推進していく必要性があると思っていますので、当社に置きましても地元の皆さんのご理解を得ながら、安全を大前提としながら志賀原子力発電所2号機の1日も早い再開を目指していきたいと思っています」