過去は変えられないけど未来は絶望じゃない

記者:「実名と顔を出して告白、社会をどのように変えたいと?」

里帆さん:「とくに私は家庭内の暴力、家庭内の性被害にあったので、当然ゼロになるのが一番うれしい。いきなりゼロにするのは難しいとは思うんですけど、子供が安心して健やかに心が成長する環境っていうのは本当に大切だなと思っていて。もちろん大人になって自分の責任でうまくいかないことっていうのはあるとは思います。ただ、子供時代に、親に愛されて大切に育てられている。安心して外の世界に出ていって、自分のやりたいことだったり、夢に対して真剣に向ける心の土台が作られると思うので。そういった当たり前に愛されて、育てていく、そういった家庭環境、子供たちの未来があれば本当にいいなと。
そして今、加害に遭ってしまった方、もう過去は変えられないですけど、ただ、未来はもう少し絶望じゃなくて良くなっていく。特に性暴力の被害に遭ったとしても、あなたは悪くないよと、その一言がすぐに返ってくるような社会がいいなと。
私はこうして主人が隣にいて、結婚できたんですけど、当時も、やはり難しいだろうと思っていて。別に私に悪気がない、私が悪くないってわかっていたとしても、結婚っていうのは、他の親族、その相手方の親族と一緒になるっていうことでもあるので、抵抗はある方は多分、いろいろ考えて結婚になかなか踏み出せないことっていうのはあると思うので。そういった考え方自体っていうのも、変わっていけばいいなと思います」

弁護士:声を上げたいけれども、その環境が整ってないという方が多分や世の中にたくさんいると。その環境を何らかサポートできるような、そういうまだ具体的なところではないんですけれども、そういうことも将来的には、構想の中に入っています」

記者:「起訴されて裁判になると証人尋問、里帆さんが法廷でお父さんと向き合う機会もあるかと思うが?」

里帆さん:「もし顔見ることになったらどうしようとか、そういった不安があって、そこで直接、顔を見て話せたら勇気はあることなんでしょうけど、なかなか難しい。心情的にとてもじゃないけどできないと思うので、そういった配慮がある形で…。できたら、近い、直接、父に語りかけられるような形が、法廷に出てできたらいいなとは思います。(父に)かける言葉は、そうですね…。わからないですけど、ただ、反省してほしい。考えてほしい。そういうふうに思います」