2000冊の内容把握 希望に合わせ「おすすめ」を選ぶ

お店のモットーは「話して見つける書店」であること。お客さんに、どんな本が欲しいのかまずイメージを聞いて、会話をしながらおすすめの絵本を選んでいきます。

お客さん「おコメを子どもたちに教えられるような…」
石井さん「コメ?」
お客さん「コメがこうなるとか。」

並んでいる2000冊の絵本は全て石井さんが選んでいて、お客さんにその絵本の魅力を伝えられるように全ての内容を把握しています。

お客さん「自分のことを好きになってほしいみたいなところがあるじゃないですか。言葉で伝えてもなかなか伝わらなくて…。そういう人におすすめの絵本とかあればいいなと思うんですけど。」
石井さん「言葉をちょっと…欲しい人に、みたいな感じかな?」
お客さん「自分をもっと大事にしてほしいなっていうところ」

こちらの女性に石井さんが選んだのは、役目を間もなく終える1本の「街灯」の物語を綴った絵本「ひとつのねがい」です。

石井さん「(街灯は)誰からも感謝をされることなく、ずっとそこに立っているわけですよ。でも最期にものすごくあたたかい言葉をふとかけてくれただけでその街灯が人生を全うしたと思うラストシーン」
お客さん「えー感動する…。」

人間関係でつまづいたり、人生に立ち止まったり、子育てがうまくいかなかったり…。そんな大人たちにこそ、絵と言葉で寄り添ってくれる「絵本」を読んでほしいと石井さんは語ります。

石井さん「大人こそ読んでほしいですよね。そのときの気持ちに寄り添ってくれる本を、ぜひご紹介をさせていただきたいなということで、大人向けの絵本という形にしています。」

石井さんは、短い文章と絵で語りかけてくる絵本ならではの様々な想像や気付きを改めて感じてもらい、実生活に役立ててほしいと話します。

お客さん「(おすすめされた絵本を)開いて読むと、その時に自分がこういう言葉が欲しかったなとか、それで絵本にはまったというか、訴える力がすごく好きで。」

誰もが親しみやすい絵本を集めてきた石井さんのもとには「石井さんに選んでほしい」と全国各地からメッセージが届くほか、絵本の魅力に改めて気付き、何度も通う人もいます。

お客さん「疲れていたり子どもの反抗期だったり、子どもとケンカしちゃったっていうときに、お母さん向けの本を選書してくださるので常々勇気をもらっていますね。」

お客さん「いろいろな思い出とかに重ね合わせたりすることがあるので、すごく深まった感じがあります。大人になってからのほうが絵本楽しめるかなっていう気がしています。」

石井さんは、これからも絵本の魅力を知り、考え、伝えることで、子どもも大人も楽しめる絵本の価値を上げていきたいと話します。

石井さん「しっかり内容が皆さんに伝わっているのかっていうこと、それがやっぱり私達のその小さな書店だからこそできることかなと思っております。」