福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。今回は、会津若松市にある明治時代創業の漆器店です。いま、会津漆器の技法を使った“あるもの”の制作が最盛期を迎えています。県内外から人気を集めるあるものとは?
会津地方で500年以上の歴史を誇る伝統の漆器「会津塗」。松竹梅と破魔矢を組み合わせたものは会津絵と言われ、会津を代表する模様です。その会津塗の特徴は、加飾の美しさ。伝統を守りながらも、会津の漆器店それぞれのオリジナルのデザインが施されています。

会津で100年以上続く「関漆器店会津ぬり一」。
--関 盛夫 代表(関漆器店会津ぬり一)
「祖父が始めた、明治43年、115年前ですね。各家庭で昔は、お祝い事や催し事があった時には、みんな自分の家でやりましたよね。昔の家には必ずお膳から揃ったお椀、それが最低でも10セットや20セットあったんですね。」
時代の流れで陶器を使うことが多くなり、漆器離れが進みます。それでも伝統工芸品の会津漆器の良さを守り続けたいと、お店オリジナルのデザインへ取り組みました。
--関 代表
「徳川家の嫁入り道具についていた絵なんです。これでひとつの風景が想像できると思いますね。漆器の良さを理解していただく人がいらっしゃいますから、その人達を広げていく、そういうところにどう力を注いでいくかということだと思いますね。」
会津漆器の特徴的な技法・蒔絵で繊細で美しいデザインを施し、これまでの伝統的な漆器を守り続けています。
蒔絵とは、漆で描いた絵に金や銀などの金属粉を蒔き装飾する技法で、より繊細で立体的な表現ができます。その蒔絵の技法を使い、今では万年筆やカードケースなどもあり、会津漆器がより身近なものになっています。
--関 代表
「蒔絵の良さアピールすることも当然考えているんですけども、今の売り上げの7割近くが贈り物、ギフトなんです。それに対応するようなやり方、商品、これも大事なところで。」
そこで、こんなアイデア商品も・・・。
--関 代表
「これは蒔絵の年賀状を最盛期で作っているところです。(作っているのは)うちだけですね、これを始めて25年経ちますから。」
蒔絵のデザインが施された年賀状、毎年5種類作っていています。

--関 代表
「ことしですと午に関するものは2つ。あと3つは蒔絵らしいもの。これをいただいた方は一年間部屋に飾っているんですね。」
この蒔絵の年賀状、とても人気で毎年売り切れになるほど。
--関 代表
「圧倒的に県外(からの注文が多い)。ほとんど毎年リピーターの方がおいでになりますから。」
1日に蒔絵の作業ができるのはひと工程だけ。そのため1枚完成させるのに10日かかるそうです。
--関 代表
「(年賀状は)11月1日発売ですよね、それを買ってきてそれから(作業が)始まるんですから、ご覧の通り手作業ですので、できる量が決まってしまいます。年賀状と言うより1枚の絵ですもんね。」
ことしも全国から多くの注文が寄せられています。会津漆器の伝統を守るため、蒔絵という技法を生かしたスタイルで次の世代へと繋いでいるのです。

--関 代表
「どのように商品開発をしながら、みなさんのところに近づいていくかその努力も業界としてしなくてはならない。今年は午年ですので、一つの目標に向かって前向きにどんどん進んでいくそういう一年であって欲しい。」
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年12月18日放送回より)













