【取材後記】TUF報道部 伊藤大貴

「まるで山手線みたいですよ」
これは只見町の担当者がいまのJR只見線を表現したものです。
その実態をこの目で確かめようと今回、記者が実際に只見線に乗車しました。時刻は出発時間を3分後に控えた午後2時32分。急いで只見駅から乗車してみると、すでに車内の座席はすべて埋まり、立っている人が・・・目視で1両あたり50人あまり、2両あわせると100人ほどが乗っていたと思います。その様子はまさに「山手線」。インタビューをすると乗客からも車両の増加を求める声が上聞かれました。こうした現状にJR東日本は次のように話します。
「混雑を解消するために車両を増やす可能性を含めて検討しています。しかし、車両の数を増やすと、その編成に対応できないホームを持つ駅や、踏切にかかってしまう駅も出てくる恐れがあります。」
一筋縄ではいかない混雑の解消。そうしたなかでも聞こえてくるのが「あの山は少し変わった形をしているね」「この川は村上の川と比べると・・・」といった乗客の会話です。列車に揺られながら自然豊かな景色を楽しんでいるように感じられました。
しかし大きな課題もあります。只見町の温泉、季の郷湯ら里は「せっかく只見駅に来ていただいても、そのあと観光スポットや施設に移動する、いわゆる二次交通がない。町内で連携が必要だ。」と課題について指摘します。
こうした状況に対し、只見町の担当者は駅前にレンタカーを導入する方向で調整している段階と明かしました。「只見線人気」を短いブームで終わらせず、町の観光につなげるために、自治体などには今後を見据えた対応がいま求められています。