23年前に当時、小学生だった息子を交通事故で亡くした母親が宮城県色麻町の高校生の前で講演しました。母親は「命は自分だけのものではないことを知ってほしい」と呼びかけました。
佐藤早織さん:
「『いってきます』それが息子の最後の言葉になった。もし話をしていたらあのクレーン車にひき殺されることはなかったかと、心がかきむしられ悔やんでも悔やみきれないでいる」

色麻町の加美農業高校で講演したのは、仙台市の佐藤早織さん(54)です。2000年7月、当時小学3年生だった佐藤さんの長男・翔樹君(8歳)は仙台市の自宅近くで青信号の横断歩道を渡っていたところ、大型トレーラーにはねられて亡くなりました。

佐藤さんは、1年生から3年生、60人あまりの生徒を前に命の大切さを訴えました。
佐藤早織さん:
「辛いときは思い出してください。生きたくても生きられなかった子どもがいるということを思い出してください。自分の命は自分だけのものではないことを知ってください。生きることは本当に素晴らしいことです」

佐藤さんの話を聞いて生徒たちは何を感じたのでしょうか。
生徒:
「自分の命を守ることだけでなく、ほかの人の命も守ってあげられような大人になりたい」
「涙が出たりして辛かったということが伝わった。生きたくても生きられない人もいると思いながら生きていきたい」

加美農業高校では毎年、犯罪被害者ら遺族による命の尊さを学ぶ教室を開いていて、生徒たちは突然、事故でわが子を失った母親の悲痛な思いに耳を傾けていました。