様々な分野で功績があった人をたたえる秋の褒章の受章者が2日、発表されました。宮城県関係では、16人が受章しました。

秋の褒章は、様々な分野で功績があった人を国が表彰するもので、県関係者からは16人が選ばれました。このうち、ひとつの仕事に長年取り組み、模範となる技術を持つ人に贈られる黄綬褒章には、50年にわたって美術刀剣の外装に使われる金具の製作を続けている白銀・金工師、羽川安穗さん(80)ら10人が選ばれました。

また、公共事業や社会福祉に尽力した人に贈られる藍綬褒章には、みやぎ被害者支援センターの犯罪被害相談員、横橋良子(よこはしよしこ)さん(76)ら6人が選ばれました。

黄綬褒章を受章した多賀城市の白銀・金工師、羽川安穂さん80歳を取材しました。

羽川さんが作っているのは、模様を描いた刀の「つば」。美術品として人気がありますが、1枚を完成させるまで数か月かかり、繊細な技術が必要です。

黄綬褒章 白銀・金工師 羽川安穂さん

黄綬褒章 白銀・金工師 羽川安穂さん:
「『毛彫り』といって、サルの毛をいま彫っている。手で調整しながら昔の(お手本の作品の)味を出しながらやっていく」

若い時から刀や鉄砲に興味があった羽川さん。白銀・金工師の研修会に参加したのをきっかけに29歳のとき、職人の道へ。以来、50年にわたり、独学で技術を磨き、去年「現代の名工」にも選ばれました。

黄綬褒章 白銀・金工師 羽川安穂さん:
「道具はどんなものを使っているのかを見るわけ。ですからここにある道具はほとんど自分で作っているもの。みんな難しい。難しいところを突破するのがスリルがある」

羽川さんが作った刀のつば

一方で、ある心配も口にします。

黄綬褒章 白銀・金工師 羽川安穂さん:
「刀匠、刀を作る人はけっこういるけれどこの白銀・金工をする人は少ない。やっぱり同職者は少ないんだから(白銀・金工師に)向かってきた人を大事にして育てていかないと」

羽川さんは、若手の育成に取り組みながら伝統文化を後世に伝えていきたいと考えています。

黄綬褒章 白銀・金工師 羽川安穂さん:
「常にやっぱり体を大事にして、これが一番だね。まだやり足りない。まだまだいい仕事を残したい」

褒章の伝達式は、11月9日と13日、省庁ごとに行われます。